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実感のわかない同棲生活の話

家族で過ごす最後の晩餐だと思っていたあの夜から、家族の晩餐が続いている話をしましょうか。


昨日は恋人タミオ君がお休みだったので、私も休日出勤の代休をぶつけてお休みをかぶせた。バランスよく休みは取りたかったけど、二人でやった方が良い事は引っ越してすぐの方が多いと思ったから。

早めに二人でやることのうち、特に重要なミッションだった ご近所様への挨拶回りと、役所への住所変更、唯一残しておいた我が家(旧マンション)からベッドを解体して運ぶこと。

結果全て執行できたものの
なんと住所変更は私しか行わなかった。


***

前日の夜、『住所変更ってすぐやらなきゃいけないの?』とタミオ君に聞かれた。

タミオ君は実家だから すぐに変更しなくても差支えはないかもしれないけど、私は旧マンションの解約をしたら家がなくなるから 2週間以内にしなきゃいけない。解約は来週だけど年末になると役所に行けないし、次いつ休みが合うかわからないから一緒にできる時にしちゃった方が良いんじゃない?という話をしていた

のに

そこでは特にそれ以上の希望や意見はなかった

のに

いざ役所に行ったら
『俺は籍入れる時でいいかなと思ってたから今日はいいや。』

え、そうなの?

『世帯主はタミオ君にする予定だったのに、そうなるとお互いが世帯主になるしかないけどいい?』


その場で、片方が世帯主になる方法と、両方がそれぞれ世帯主になる場合のメリットデメリットを(事前に調べてたけど私がそれを書き留めたノートを忘れてきた)調べ直した上で、結局お互いが世帯主になることにした。


『一緒に住所変更すると思ってたから今日来たけど、一人で来れる時に来たらよかったね。付き合わせてごめんよ。』

区役所なんて何回も来なくて済むならそうしたいし、待ち時間だってタイミングによってはめちゃくちゃ長いし、住所を変更するつもりがないなんて その時初めて聞いたからビックラこいちゃった。

何を渋ってるのかわからないけど、せっかく二人で着てるんだし一緒にやっちゃおうよと誘っても結局その場で用紙を書かなかったので、形式上も新しいマンションは二人のお家じゃなくなった。
タミオ君が家賃を払っているだけの、私一人の家。


そうして私は単独で住所変更を済ませ
住所と一緒に苗字を変えるどころか、内縁の妻にもなれず役所を後にした。


まぁ結婚にこだわっているわけではないし、急ぐつもりがないことも話し合って決めたけど、今のところ同棲自体もあまり実感が湧いていない。


寝泊まりを開始した土曜日から、家で食事をしたのは一度だけ。それも我が母からの貢ぎ物おかずをチンして出しただけ。

新しい炊飯器を稼働してお米は炊いたけど、米なんて研いで突っ込むだけでご飯は炊飯器が作ってくれる。


タミオ君は仕事場から近い実家に、毎日寄って荷物を運べるだけ積んで帰ってくる。その際、実家でお風呂にも入ってくるし ご飯も食べてくる。

日曜日は休日出勤の帰宅時間が不明だったから、実家で食べてきてもらうことをこちらからもお願いしたけれど
一緒に暮らす家でお風呂にも入らない、作ったご飯を一緒に食べることもない日々で、私はまだ【自分の家にタミオ君が通ってくれている】感覚からなかなか抜け出せずにいる。


昨日は引っ越して初めてお休みをかぶせたこともあって、お昼は残りご飯でチャーハンを作って食べた。

夜は買い物ついでに外で食事は済ませてしまったけど、初めてタミオ君もお風呂に入った。一緒に食べるご飯を作るための買い出しができたことも、少し私のモチベーションが上がるきっかけになった。


今日からちゃんとご飯を作れるように、大きくなった冷蔵庫に野菜を買い足したことで、長らく空っぽだった新しい冷蔵庫に少しずつ食材が埋まっていくことも、なんだか嬉しかったりした。

なんだかやっと同棲感出てきたな、と思いながら
二人とも荷物の運搬と片付けに疲れ果ててしまって速攻寝た。


今朝、家を出る時に『今日も遅くなるからご飯食べてていいよ』と言ってタミオ君は玄関を出た。

『明日健康診断で食べれなくなっちゃうから先に食べてるけど、え、用意はしといていいんだよね?』


『荷物も取りに実家に寄るから、お風呂もご飯も済ませてから来る。』



あっそうなの。


せっかく昨日たくさん食材買ってきたのにな
今日からちゃんとご飯を作るための買い出しだったのにな

って思ったけど

私も明日はバリウムだから今日は消化にいいもん食べたいし、やらなくて済むと思えばいいのか。

って考えるようにして

というよりもう行く直前にそんなこと聞かされちゃっても言いたいこと言う時間もないし すぐに言いたいことも思い浮かばないよ。



『オッケー行ってらっしゃい』っていつも通り送り出したものの、せっかく沸き起こり始めた同棲感もふりだしに戻ってしまった。

毎日ご飯を用意するのが当たり前になれば、ご飯が作れる状況でも作らなくて済む という状態を待ち望む日がいつか来るのかもしれない。

でもやっと叶った同棲生活の入り口でそんなことが続くと、なんだか やらない自分への罪悪感に駆られたり、タミオ君が二人のおうちをまだ【自分の家】だと受け止められていないような妄想に駆られてしまって寂しくなる。

まだまだ荷物はあるみたいだし、しばらくこんな生活が続くんだろうか。親御さんはどう思うんだろう。

これから一緒に暮らします、よろしくお願いします、って挨拶もしに行ったのに、どんな気持ちで家を出たタミオ君のご飯を用意してるんだろう。

タミオ君が何と言ってご飯を用意してもらってるのか聞けてないけど、御子ちゃんはご飯を作ってくれないのかしら と思わないんだろうか。


もう家電もちゃんと動いてるし、食材の補充もできたし、私単体はお部屋の片付けだって終わっている。
仕事があってもご飯は作れるし、一人でいる時からご飯は作って食べてるし、仕事も平日はほぼ残業がないしなんせ明日は休み。

ちゃんとご飯を作るには十分な環境が整っているのに
遅くなるという理由だけで、なぜタミオ君は実家でご飯を食べると言ったんだろう。私に気を使っているんだろうか。


朝はそんなことまで聞く時間もなくて、住所変更を一緒にしなかったことも思い出したりして、ずっとモヤモヤが止まらないので気持ちの整理のために書き殴っている。


「タミオ君は今日も実家でご飯を食べてくるらしいよ」なんてチョロッとでも漏らせば、母は私のご飯を用意するはずなので、私は黙って家に帰って一人で簡単にご飯とお風呂を済ませて、寝る用意をしちゃう予定。

余計なこと考えず
ご飯済ませてきてくれて楽できちゃった~センキュ~って思いながら寝る予定。



タミオ君からは、仕事に行った後に

忙しくて毎日いろいろやってくれてるのにきちんと感謝の言葉を伝えることができていなくてごめんね。いつもたくさんありがとう。
毎日帰りも遅くて朝も早くて迷惑かけるけどよろしくね
たみお


って連絡が来てた。

迷惑なんてちっともかかってないよ。
むしろいつになったらまともに迷惑かけてもらえるの。


毎日のように信じられない量の荷物が運ばれてきて、片付けても片付けてもリビングが埋まる日々。
昨日は大量に占拠していたリビングの荷物を、一生懸命整理して自分の部屋に詰め込んでくれた。ただでさえ足の踏み場がなくなっていた部屋にどうやってあの荷物を放り込んだのかわからないけど、もう、ちょっとビビッて覗いていない。


私はどんな細かい作業でもタミオ君がやってくれたことには全力で感謝の気持ちを伝えるように心がけているので
いろんなことが悪い意味で当たり前になってしまわないように、最初にできる努力はしておきたくて その部分のバランスが取れていないかもしれないことは少し不安だった。


だから、ちゃんと感謝の気持ちは持ってくれていること、伝えられていないことを気にかけてくれたのは安心した。

そして何より、唯一優雅な空間を保つ予定だったリビングの半分以上を占めていた荷物を 自分の部屋に片付けてくれて安心した。


毎日杞憂が生まれては消える。
思い出しては意図的にかき消すこともある。


正規の嫁どころか内縁の妻にもなれていない分際ではあるが、【結婚は忍耐】というありきたりな言葉が身に染みている。


ありがとう。
私もタミオ君にやってもらってることはたくさんあるし、持ちつ持たれつで仲良く楽しく暮らそうぜ。
ご飯だって本当は遅くても気にしなくていいんだからね。今日はお言葉に甘えるけど\(^o^)/
みこ


私も必要以上に一喜一憂しないように、気を付けよう。

そして言いたいことも言えないポイズンな日々にならないように、ご飯やお風呂事情についてはちゃんと時間を見つけて話そう。


ふたりのおうち を実感できる頃には、年が明けるかもな。

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