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【映画感想】「ハロルド・フライのまさかの旅立ち」やると決めた男の800キロにわたる、出会いと再生の旅(ネタバレなし)
こんにちは、電影雑記@横浜森林です。
今回紹介したい映画は『ハロルド・フライのまさかの旅立ち』。
ある日突然届いたかつての同僚からの手紙で、余命僅かな事を知り、彼女が入院する病院までの800キロの道のりを、歩いて会いに行くというロードムービーです。
作品情報
作品名:ハロルド・フライのまさかの旅立ち(原題:The Unlikely Pilgrimage of Harold Fry)
監督:ヘティ・マクドナルド
製作国:イギリス
制作年:2022年
出演:ジム・ブロードベント、ペネロープ・ウィルトン、アール・ケープ、リンダ・バセット、ダニエル・フログソン、ポール・ソーンリー
あらすじ
ハロルドとモーリーンという老夫婦の元に、ある日思わぬ人物から一通の手紙が届く。手紙の差出人は主人公ハロルドのかつての同僚であったクイーニーで、手紙の内容は余命わずかとなりホスピスで過ごす彼女からの別れの挨拶であった。
頭を悩ませながらも返事を書き上げ、近所のポストに手紙を出しに向かうハロルドであったが、どういうわけか手紙を出すことを躊躇してしまい、結局投函することができなかった。
手紙を出すことができなかったハロルドだったが、ふらりと立ち寄ったガソリンスタンドで若い女性店員に言われた何気ない一言をきっかけに、800キロ離れた場所にいるクイーニーのもとに、ある思いを抱えて歩いて会いに行くことを決意する。
「意味なんかいるか! 俺たち男はな、無駄な実行力だけが命だぜ! 」を体現した映画
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800キロの徒歩の旅の中でさまざまな人との出会いがあったり、主人公ハロルドが過去の人生を振り返ったり、というのがこの映画の基本的なストーリー。
普段、ろくに歩いてもいない爺さんが800キロ離れた場所にいる元同僚に、歩いて会いに行くと言い出した時点で、「車で行けよ」とつい言いたくなるが、それは言いっこなしなのだ。それを言ったら映画にならないからね。うん。
だからね、そんな無粋なツッコミはせずに、決意を固めたハロルドに対して「歩いて行くしかないっしょ!ハロルド」と、キネカ大森の劇場内で俺は軽くテンション上がり気味で思った。迷ったらGOだと。
なぜなら、ロマンポルシェ。の掟ポルシェも「男道コーチ屋稼業」という曲の中で言ってましたからね。
「そんなことしても全然意味がない?意味なんかいるか!俺たち男はな、無駄な実行力だけが命だぜ!」と。
そう、この映画はまさに「俺たち男はな、無駄な実行力だけが命だぜ!」を体現する、ハロルド・フライという男の800キロにわたる「出会いと再生」の旅を描いた作品と言っても良い。
「ちょっと手紙出しに行ってくる」と出かけたはずなのに
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「ちょっと手紙出してくるわ」と出かけたのに、「800キロ歩いて、クイーニーに会いに行ってくる」と電話で急に言い出すハロルドに
「あなた、何を馬鹿なこと言ってんのよ!!!」と怒る、妻モーリーン。
「俺は、クイーニーに会いに行くことで彼女を救うんだ」と、変なスイッチが入っちゃってるハロルド。
「もう勝手にすればいいじゃない!」ということで、800キロの徒歩の旅が幕を開ける。
人の挑戦に便乗して達成感を得ようとする図々しい輩が登場
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そんなこんなで800キロの徒歩の旅が始まり、道中に出会ったさまざまな人たちの善意に助けられながら、ハロルドは旅を進めて行くことになるのだが、「夏休みに自転車で日本一周に挑戦する小学生」の如く、メディアに報道され有名になってしまった結果、「私もあなたと一緒に歩きたい!ぜひ私もお供させてください!」と、他人の挑戦に便乗して達成感・成功体験を得ようとする、薄っぺらい意識高い系の輩がゾロゾロと集まり、頼んでもいねーのにお揃いのTシャツとか作り出したりして、たった一人で始まったハロルドの旅は、いつのまにか旅芸人一座のような大所帯になってしまう。
どこの国もいるよね。こういう人の挑戦に便乗して、何かを成し遂げたかのような満足感を得ようとする、図々しい輩。
旅が進むにつれて明らかになる、ハロルドとモーリーンの人生に暗い影を落とす悲しい過去
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旅の目的地であるクイーニーのもとへと近づくにつれて、これまで劇中でほとんど明らかになっていなかった、主人公ハロルドと妻モーリーンの人生に暗い影を落とす、ある悲しい過去が明らかになっていくのだが、それとともにハロルドにとってクイーニーという女性がどういう存在なのかについても明らかになっていく。
穏やかで大きな事件は起きない映画だが、見ていてじんわりとした何かを感じる、素敵な作品
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『ハロルド・フライのまさかの旅立ち』は、劇中で特に何か大きな事件が起きたりすることなく、穏やかな流れで話が進んでいく。でもその穏やかな感じが心地よく、見終わったあとに確実に何か「じんわり」とくるものがある。何の下調べもせずに、ポスターの雰囲気だけで見ることにした作品だが、見てよかったです。
こういう静かで淡々と話が進む映画だけど、見終わった後に確実に「何か」を残してくれるタイプの映画に出会えると、嬉しくなりますね。
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