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色を掛けること、女物を男物に仕立てること

January 10, 2019

茶道の稽古始めだったので、昨日に続いて着物の話を。

十代の頃に仕立てた、はなやかな桃の色無地と、あかるい朱の道行は、白髪になれば似合うというわけでもなさそうで、もうこれはどうにもこうにも大人には難しい色と判断して、色を掛けた。

色を抜いて染めかえるのではなく、色を乗せるだけだと生地の傷みが少ないというけれど、色見本通りではない、思いがけない色が立ちあらわれてくることもある。わたしの試みはほぼ希望通り、桃色は小豆色に、朱は葡萄のように赤みがかった深い紫に変わった。そのとき覚えたことは、掛ければ色というものは次第に暗くなるという、言ってみればあたりまえのことだった。

小豆色のしたには、桃色が眠っている。地模様は雲。雲が、とろりとした綸子の生地のうえで、鈍く光っている。

雲の色無地の見立てはモダンな模様が好きだった祖母だ。雲が好みだったのか、流行りだったかは知らない。祖母の着物に、雲の模様と鮫小紋を重ねた粋な緑の江戸小紋があって、これをどうしたものか、羽織にするかと考えた挙句、夫の着物に仕立てなおしてもらった。女物が男物になるところが、着物の素晴らしさのひとつだ。背が高く、日本舞踊では男舞が多かった祖母。このことを知ったら、喜んでくれるに違いない。

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