旅しているみたいに濃密な
February 24, 2019
暮らすように旅をして、旅するように暮らすのが好きだ。
旅しているみたいだなぁと思ったのは、昨日の朝、夫が、外で朝ごはんを食べようと言って、犬の散歩がてら、コーヒースタンドへ歩いて出かけたときだった。たまにそういうことがあって、そうすると、日常は突然、旅になる。
午後は伊勢丹の野菜売り場で行われていた食育のイベントに顔を出して、高知の野菜を買った。そして、西宮のameen's ovenのミシマショウジさん(詩を書くパン屋さんではなくて、パンを焼く詩人)が、朗読をするというので、新宿二丁目のカフェ ラバンデリアへ。
昨日は『敷石のパリ』という、四人の詩人が参加した詩集の出版記念イベントで、その四人の中には(『月の本棚』で紹介した)『レモンケーキの独特なさびしさ』を翻訳された管啓次郎さんもおられた。このカフェの雰囲気が日本ではなかった。小さな店内に子供も大人もいて、みんなで座って和やかに楽しむ、その空気。コントラバスとトランペット。詩が音楽とともに大きく立ちのぼってきて、心をゆらす。
そして今日、ミシマさんは、西荻窪の古本バル、月よみ堂での『月の本棚』出版記念イベント#3に来て、朗読もしてくれた。その昔、15年くらい前、わたしは彼のパンより先に詩に出合ったのだった。今日は『月の本棚』と同じ書肆梓から詩集を出している小峰慎也さんの朗読もあった。ポエトリーリーディングの週末だ。ライブって、いいな。
今日も小さな店いっぱいに、昨日とはまた違ったひと達がいて、みんな笑っていて、わたしはすっかり嬉しくなってしまったのだけれど、ほとんどが「初めまして」な方々なのにも関わらず、終わってからも会話が次から次から続いて、誰もが印象に残る、旅先で出会うひとたちのようだった。
旅するように暮らすのは、ここにこうしていることに、慣れてしまわないこと。ひとつひとつ、初めてのこととして、味わってみることだ。時間は、意識さえすれば旅先のそれのように、濃密になる。