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豚の安心を買うより 狼の不安を背負う。 見城徹著『読書という荒野』

この本を読んで僕が最初に頭に浮かんだのは、ブルーハーツの『俺は俺の死を死にたい』でした。

豚の安心を買うより 狼の不安を背負う
世界の首根っこ押さえ ギターでぶん殴ってやる
(THE BLUE HEARTS/俺は俺の死を死にたい)

「豚のような時間を過ごしてはいけない」と、読書を通じて自己検証、自己嫌悪、自己否定をひたすら繰り返す様子が、ハスキーボイスで叫び続けるブルーハーツのマーシーと重なった。

限りある時間を圧縮して、一心不乱に打ち込む様子は、日に30時間の鍛錬という矛盾をひたすら鍛錬の密度を高めることで実現したジャック・ハンマー的とも言える。

『45歳の教科書』の著者 藤原和博さんは1つの分野で100人に一人の人材になるためには1万時間の鍛錬が必要と言います。1日3時間なら約10年、6時間なら約5年、そしてジャックなら約1年。ジャックのそれは『刃牙』の世界特有のマンガ的表現ではあるけれど、「どーせ、マンガでしょ」と一笑に付してしまうには惜しすぎます。

「努力は、圧倒的になって初めて意味がある」というこの本の見城さんの言葉は、ジャック・ハンマーのことを言っているような言葉。

圧倒的努力でもって薬物を凌駕したジャック。そして、それでも届かないものがあるという現実と、それを受け入れさらに前に進もうという覚悟。

圧倒的努力そのものです。

人の心を動かすのはこの”圧倒的さ”なんだと思います。ブルーハーツの圧倒的なパフォーマンス、刃牙や見城さん手がける本で描かれる誰かの圧倒的な人生。

これらに触れ、自分の言葉を獲得しながら、怒涛の如く1万時間を達成する。

サラバ、豚の安心。サラバ、豚のような時間。


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