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感情のジェットコースター
術後6日目。誕生日をベッドで迎えて、落ち込みながら迎えた翌朝。
眠剤なしで何とか眠れる(寝落ちする)けど、鎮痛剤なしでは眠れない事に気付いた。
眠剤といっても病院で出されるのは入眠剤だけ。どちらかと言うと私は中途覚醒の方が多いので入眠困難ではない。
鎮痛剤はゆるいものが毎食後に出てるけど数時間で効果が切れてしまうので、18時の夕食から8時の朝食までの長い時間もつはずがない。
ロキソニンを消灯前に貰ってすぐ飲むか、中途覚醒した時に飲むか、という相談を看護士さんからされた。この人は神?!と思った。
その夜から21時半くらいにロキソニンをお守りがわりに貰うようになった。ほぼ毎日飲むけど自分の好きなタイミングで飲めるのは有り難い。
バストバンドをして眠ると息が苦しくなりやすい。でも寝ている間にぶつけたりねじったりしたらと思うと怖くて。あと、夜中に咳と痰が増えるので優しくガードしておいた方がいいらしい。
外したり巻いたり忙しいけど、2つも買う必要はなかったなと思う。正中切開じゃないし、ミッドキャブでバストバンドは多分いらない。
胸の真ん中の骨を切っていたら固定するために3ヶ月はバストバンドがいるらしいけど。
浸出液がついてしまった時があって、一つを洗って乾かしている時くらいしか二つの有難みを感じなかった。
この日、私は悪夢の部屋から移動が決まり、ナースステーションから一番遠い部屋になった。退院が近付いている証?!
その部屋も相変わらずおばあちゃんばかりだけれど、カテーテルの検査の人ばかりで入れ替わりが激しかった。
そして退院したいと先生にも看護士さんにも言い続けた甲斐あって、1日だけシャワー開始を早めて貰えた!
手術前日から9日ぶりのシャワー! 涙が出るほど嬉しかった。髪の毛キシキシだし、ボディシートではもう限界だったので。
傷口の洗い方から、倒れないようにと看護士さんが介助に入って下さって、髪の毛洗って体洗って、また病室戻ったら絆創膏貼り替えるので呼んで下さいと言って可愛い新人看護士さんは出ていった。
前から入浴は胸がしんどくなることが多くて、でも今回の手術後、びっくりするくらい体力が落ちていてお風呂場でふわっと目眩がしたくらい。
病室に戻ってから看護士さんにそれを伝えると、ナースコールして下さいって言われてしまった。お風呂場で倒れたら危ないもんね、反省。
湿布サイズの網目の絆創膏を貼り替えてもらい、静かな病室でスッキリした気持ちでいられたのも束の間。
バタバタと新しい患者さんが入ってきてすぐ満室。お見舞いの人と大きな声で談笑するわ、看護士さんを小間使いのようにナースコールしまくるわ、これもなかなかハードモード。
極めつけは実弟からのLINE。「お誕生日おめでとう。1日遅れてごめん。今月フルマラソンに出ます。怪我しないようダイエット中(笑)」
なんてことはない文面に見えるかもしれないけど、弟には3人も子供がいて、私は子なしで、弟はフルマラソンに出る一方で私は冠動脈バイパス手術を受けてリハビリをしているなんて。
神様は不公平だなと思った。羨ましすぎて夜眠れなくなった。
病室の人がカテーテル検査で一泊二日で帰るばかりだったのも手伝って、私もステントにすればよかったとか、そもそも子供を諦めるべきなのかとか、結婚するの遅かったし、とか思考回路がぐちゃぐちゃでトイレにこもって泣いた。
深夜で誰もこないトイレだし、大声で泣いてパジャマが涙と涎と痰でぐちゃぐちゃになるまで、小一時間過ごした。
ベッドに戻っても結局すぐには眠れなくて、でも追加の眠剤もないし、朝の4時くらいまで悶々と起きていた。
平安貴族か王侯貴族のような、ベッドを起こして背中はもたれて片足立ちの雅なポーズでやっと痛み逃しができて、少しだけ眠った。