抗不安薬・睡眠薬依存症からの回復期 5
1.精神病院に入院して解毒治療する
リタリン依存症がどうにもならないレベルにまで進行し、私は京都の某精神病院に任意入院(自分の意志で入院)することになりました。
2年間、徐々に徐々にリタリンの量は増え続け、入院直前には一日に6錠~10錠は摂取していたと思います。それと同時に睡眠薬や抗不安薬、抗うつ剤も大量に常用していたのですから目も当てられません。
入院直前の私の心身はボロボロに消耗し、目は虚ろ、頬はげっそりとこけ落ち、ガリガリに痩せ細ってひどい状態でした。
私は入院するなり、ただちに保護室(他者に危害を加えたり、自傷の危険のある患者を隔離しておくための特別な部屋)に入れられました。
保護室に入れられ、外からガチャンと鍵をかけられた時、まず第一に思ったのは、
「ああ、これで休める……」
という事でした。
とにかく、もうリタリンを手に入れるために狂ったように病院をハシゴしなくていいんだ、親や友達にバレないように嘘をつかなくていいんだ、もう幻覚や妄想と闘わなくていいんだ……と思うと、なんだか身体の力が「フッ…」と芯から抜けたのを憶えています。
私はそれから数日間、ひたすらグーグー眠り続けました。
数日後、私は保護室の中で目を覚ますと、やっと少し落ち着きを取り戻しました。
改めて見渡してみると、保護室は殺風景そのものでした。
出入り口は頑丈な鉄の扉で閉ざされ、窓は強化ガラス、床や壁は自傷予防のためにリノリウムで統一されていました。
家具の類は全くなくて、便器がひとつあるだけ。その便器でさえも、自殺予防のためなのか水はこちら側からは流せないような仕組みになっていました。
「ああ、これで俺の人生は落ちるところまで落ちたな……」
と思いました。
ついに俺はおかしくなってこんな牢屋のようなところに入れられてしまった……。この上なく惨めでした。
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