ほの白いあかつきを
明るませる星のよう
いばらの上
色褪せる花のよう
太陽のとおり道に
落ちた雪のひとひらのよう
酬いが死である場所で
舞う白い蛾のよう
命とはそのようなもの、いとしき者よ
生が終わるときには
"Flower of Grass" by Ella Young
館野浩美訳
***
エラ・ヤングはアイルランドとアメリカ、ふたつの国に生きた詩人・作家・神秘主義家。
妖精国の音楽を聴いた天性の語り部ともいうべきヤングの自伝的エッセイ『花ひらく黄昏』、アイルラ
「価値」エラ・ヤング
薔薇について、なにが言える?
ひとひらひとひら散ってゆく
塵とともに渦巻いて
剣については?
殺められた騎士のかたわらで
錆の囚縛を受く
それなら言葉は、
詩人の歌、それとも鳥の歌は?
沈黙は王なり
天の青いアラス織の
星については、
炎は障りになるだろうか?
蛾《ひむし》に訊け!
"Values" by Ella Young
館野浩美訳
「咒術」エラ・ヤング
影深い森の中を馬に乗り
三人の女王がわたしの佇む
花咲くねじくれた茨の脇を通っていった
一人目の女王は言った「黄金は麗し」
風に舞う彼女の髪はまばゆい陽光の金
二人目の女王は言った「血汐は赤し」
彼女は死んだように蒼ざめていた
三人目の女王は言った「永き眠りぞ良き」
そうして三人の女王は森の中を通っていった
朝まだきのこと
Grammarye by Ella Young
館野浩美訳
Image: “La Belle Dame Sans Merc