好きが半分、怒りが半分
富士吉田を訪れたとき廃業した機屋の残反を分けてもらいました。
刺繍ミシンを買ったのでファブリックパネルを作ってみました。生地が主役になれるので。
先染の経糸を分割整経でビームに巻き、ドビーかジャガードの力織機で流線形の織柄を浮かび上がらせる。第一印象で目に飛び込む赤は単色緯糸のおかげ。産地的にはおそらくジャガードの力織機を使っていたのでしょう。細番手の織りの巧さは流石、かつて絹織物の産地だっただけはあります。グランドが綾でなく平織なのも良いですね。
約20年前に廃業したそうなので、多少の経年劣化は否めませんが、それでも変わらぬ美しさがあります。生地を見ながら、そんな仕事を想像して、感嘆の息が漏れます。
オードリー・ヘップバーンの言葉です。
不可能なんてない、それ自体が私は可能だと言っている。上手くいかないけど、気持ちだけはこうありたいものです。
ロット、規模の経済、生産性。
かつて革新織機と呼ばれたレピア織機でさえ、数は減り、回転率の高いエアージェットやウォータージェットの織機のおかげで価格は安く、安く、さらに安く。
インフレ率を無視して工賃は数十年変わらない。むしろ価格競争に巻き込まれ安くしろとな。未だに工賃の単位が円じゃなくて銭だなんて、いったい何時代だよ。
私を動かすのは好きが半分、怒りが半分。