【奥八女芸農学校】土と暮らした記録
9/3(木)鶏肉を醤油麹に漬けている途中で、ふと玄関のレターパックに気づく。土を受け取る。とりあえず袋を開けて猫に匂わせる。5~6回鼻をひくひくさせて、あとは知らん顔された。私も鶏肉に戻った。
9/4(金)ケチャップの空き瓶に入れる。前にレタスについてきたカタツムリを飼っていた瓶。その時はじめて触る。さらさらして常温。かすかな有機臭。
9/5(土)部屋の真ん中に置いてみる。ふと中身を部屋中に撒きたい衝動。撒くわけにはいかない。
9/6(日)日の当たる位置に移動。瓶に指を突っ込む。さらっとしている。浅いココアのような好きな色だなあと眺める。蓋をした瓶をマラカスのように振った。コロコロと音。植物の塊が混じっている。
9/7(月)あまりかまえない。
9/8(火)瓶の内側に水滴がついてる!! 生きている!! 息苦しかったのか。悪いことをした。蓋を開ける。
9/9(水)水道水を注ぐ。プツプツと音をたてて吸い込まれた。色が変わる。
9/10(木)ネギの根っこを植える。近所のスーパーで買った三重産のネギの捨てるところ。
9/14(月)はっ!!ネギの横に細い植物!
9/15(火)土が少し乾いてきたので、そばにあった「い・ろ・は・す」をあげる。土をこねていたら、突如、ボン!と、うちの黒猫の小さいクローンがあらわれて大阪弁で自己紹介されました。今日みた夢の話です。
28 (月)水をあげると土からプクプク言いながら気泡が上がってきて葉っぱが揺れます。
29(火))人間もいつかは何かに食べられる。自分が何かに生まれかわるとは容易には想像できないけど、実際、連鎖して生まれかわるんだろう。か。魂の問題とはべつに。土は何かを知ってるような気はするけど、今夜はちょっと相手をできない。
9/22(火)ネギはぐんぐん伸び、少し離れたところに新しい小さい双葉が出ていた。
9/23(水)土の実家の奥八女の田んぼは、夜は漆黒なんだろうか。星や月で明るいんだろうか。ずっと室内に置いてるから朝までベランダに出してみた。都会には漆黒はない。
9/24(木)違う芽が出かかっているが、近所のスーパーのネギに押されている気がする。
9/26(土)ハサミでちょん切ってネギを食べた。
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2020年9月 民俗芸能アーカイバー・武田力さんが、九州大学ソーシャルアート・ラボと行ったオンラインワークショップ「奥八女芸農学校 茶山の縁に学ぶ」に参加した際のメモを編集。土と暮らしてみた記録です。