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♯6 社会的自立に向けて

社会的自立に向けて、どんな支援をしていけばよいのだろうか。
平成28年7月に出された不登校に関する調査研究協力者会議の「不登校児童生徒への支援に関する最終報告」(p1)には次のように書かれている。

不登校児童生徒に対する支援の目標は、児童生徒が社会的に自立できるようにすることである。そのためには、社会性の育成、生涯を通じた学びの基礎となる学力の育成が必要であり、学校、特に義務教育段階の学校が果たす役割は大きい。…

不登校に関する調査研究協力者会議「不登校児童生徒への支援に関する最終報告 〜一人一人の多様な課題に対応した切れ目のない組織的な支援の推進〜」

「社会性の育成」と「生涯を通じた学びの基礎となる学力の育成」が必要である。

では、「社会性」とは何なのだろうか。
コミュニケーション能力やルールを守ること、集団の中で生活すること、協調性等、いろいろ考えられるだろう。
これらは人との関わりの中で、様々な体験を通して身に付いていく。
つまり、人と関わる、人とつながることが大切である。
家に閉じこもって、一人で過ごしていては身に付きにくい。
とは言っても、自分にとって安心安全が確保されてなければ、なかなか外に出ていくことはできない。
そのような場合は、オンラインでつながるという方法や間接的につながるという方法もある。
学校は、どんな形でもよいのでつながることを考えたい。
それは担任でなくてもよい。
本人が最も安心できる人、前年度の担任、教育相談コーディネーター、SCやSSWでもよいのである。
学校に対して不安が大きいのであれば、市町が運営している教育支援センターの相談員でもよい。
とにかく人や社会とのつながりが切れないような支援をしていきたい。

次に、「生涯を通じた学びの基礎となる学力」とは何なのだろうか。
基礎学力と捉えてしまうと、読み・書き・計算を思い浮かべるかもしれない。
最近では、パソコンを使って調べたり、まとめたり、プレゼンしたりする力が必要だと言う人もいるだろう。
もちろんそれらはとても大切な力である。
しかし、社会的自立に必要なのは、生涯を通じた学びの基礎となる学力である。
そこには学びへの意欲や学ぶ習慣といったことも含まれる。
「学び」は教科教育だけではない。
その子にとっては、買い物をすることが学びかもしれないし、切符を買って電車に乗ることかもしれない。
また、好きな漫画や推し、趣味である絵を描くことが学びにつながる子もいる。
「学び」を広く捉えたい。
学びへの意欲を高めていくために、支援者は多様な選択肢を準備したい。
10個提案して1つ興味を示せばよいほうだろう。
興味のあるものが見つかれば、支援者は寄り添いながら学び方を教えることも大切である。
学び方が分かれば、どんどん自身で学んでいくようになるので、習慣化していく。
このようにして、生涯を通じた学びに向かっていけるのである。

このような力を育成するにあたって、義務教育段階の学校の果たす役割が大きいのは納得である。
不登校の未然防止という観点からも、全ての児童生徒が社会で自己実現していくためにも、「社会性の育成」「生涯を通じた学びの基礎となる学力の育成」を意識した活動を学級の中で取り入れていきたい。

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