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ウーロンチャ/烏龍茶の香り

「年相応」なんて言葉、普段から真剣に考えることはないけれど、やっぱり年齢を重ねると、見た目の変化だけじゃなくなんとなく好みや感覚に変化が出てくるのは否めない。音楽やファッションみたいに、ちょっとずつグッとくるポイントがズレていく感じ。
でも、ふと思ったんです。香りって案外、そういうのに左右されないんじゃないかって。むしろ、香りは趣味嗜好のホームポジション。揺るがない、自分だけの安心領域なのかもしれない。

百貨店で働いたり、なんだかんだで人と接する機会だけは多かったから、本当にセンスがいい人が香りをどう使いこなしてるのかを間近で見てきたつもりです。そういう人って、クセが強い香りでも絶妙な加減でオシャレに仕上げてくる。たとえば、アンバー系の甘くて深い香り――私にはちょっと重たすぎるんですけど、ハイセンスな紳士淑女が纏うと「うわ!なんか…爽やかでセクシー」ってなる。不思議ですよね、同じ香水なのに別物に見えるんだから。

でも、自分の香りを見直すときに困るのが「キャラクター問題」。昔は「透明感がある」なんて褒められて、調子に乗ってた時期もありました。時には蒼井優っぽいとか、山口紗弥加っぽいとか、そういうこと言われて「うんうん」って思ってたんですけど、最近はどうもそういう話がとんと聞こえてこない。代わりに耳にするのは「なんか肩幅広くなった?」とか「そんな目奥に窪んでたっけ?」とか「なんか渋いよね、昭和っぽい。年齢詐称してない?」――いつからこうなった。。。そしてどこに消えた、私の「透明感」。

そんな私がここ数年ずっとリピートして使っていたサークル・デ・パフューマーというブランドの「ア・イリス」という香水。確か6年前くらいに伊勢丹メンズ館の香水売り場でたまたま出会った香りです。トップがペアー、ベルガモットで、ミドルノートにサフランが香る爽やかだけどどこかミステリアスな香りで大変気に入っていたのですが、近年買えるお店自体が減ってきていたのと、ちょっと気分転換もしたくなってたんです。

という事で戻りたくなったのが「お茶の香り」。爽やかさだけじゃなく、ちょっと渋みが混ざる感じが、今しっくりくるんです。空前のお茶系ブームと言われてるのも頷ける。

で、調べるとお茶系のフレグランスがもう山のように出てくる。面倒くさがりな性格なので、そんなにたくさん試すのも嫌だなと思いつつ、「ここまで来たら、香りの旅を楽しんでみるか」と軽い気持ちで休憩時間に挑戦してみました。ところがこれが大失敗。試せば試すほど、どれが良いのかわからなくなる、あるあるにはまる。あれだけ「自分らしい香りを探したい!」とか言ってたのに、最終的には「もう定番でいいんじゃない?」って適当生命体の、心の中に飼っている悪魔の囁きに負けました。

そんな私が買ったのが、NISHANE(ニシャネ)のウーロンチャ。名前だけで「はい、買い!」ってなりました。もう響きがいいじゃないですか、「ウーロンチャ」。結局面倒になってムエットで試す事なくパケ買いしたため、開封までは期待半分、不安半分でした。いざ開封すると………うん、確かに「烏龍茶ではない」。色んなレビューに書いてあった通りだった。でも、これがまた良い香りなんです。紅茶系のすっきりした甘さにほんのり渋みがあって。

どの角度から見ても素敵ですよぉ〜(シェ・松尾風に)
裏から見ると馬さんがコンニチハ

立派な箱に入ってて、「これ時計入ってる?」ってくらい大袈裟なパッケージだったんですが、あまりの嵩張りっぷりに速攻で捨てました。でも香り自体は大満足。1日1プッシュか2プッシュくらいで使って、半年くらいで半分消費しました。ラグジュアリーなビジュアルはテンションは上がるが職場に持っていくには結構重いぞ…!日中用にはshiroのアールグレイパルファンも併用しようかな、と思いつつ行動には至ってません。(何だそれ)
shiroの方がやはり気持ち若者向け感はあるけれど、そんな事は気にしません。どっちもお気に入りです。

ただ、こうして「これが私の香り!」って決めたはずなのに、まだどこかで「もっとクセの強いニッチなものが欲しいかも…」なんて思っちゃう自分もいます。ただニッチものって、突然取り扱いが終わって入手困難になることがあるんですよ。香りってやっぱり、どこかで自己満足と冒険心の間をさまよう旅みたいといいますか。さて、次はどんな香りに出会えるのか。それもまた楽しみです。


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