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読書記録┃一穂ミチ『恋とか愛とかやさしさなら』
「無料ホステスじゃないんだわ、こちとら」
半年前、旅先であったクソ男に無料ホステス扱いされた。
せっかくの旅を台無しにされた憤りと、なにより付け入る隙を与えた自分自身の情けなさに落ち込んだ。
この本は当時の私に渡して慰めるとともに、一緒にそのクソ男を罵倒してやろうぜ!ともなる本でもあった。
プロポーズの翌日、恋人が盗撮で捕まった。
カメラマンの新夏は啓久と交際5年。東京駅の前でプロポーズしてくれた翌日、啓久が通勤中に女子高生を盗撮したことで、ふたりの関係は一変する。「二度としない」と誓う啓久とやり直せるか、葛藤する新夏。啓久が”出来心”で犯した罪は周囲の人々を巻き込み、思わぬ波紋を巻き起こしていく。
信じるとは、許すとは、愛するとは。
男と女の欲望のブラックボックスに迫る、
著者新境地となる恋愛小説。
犯罪(痴漢、盗撮、不倫…etc)から犯罪未満(浮気、子供の写真を(性的に)撮る、無料ホステス…etc)の出来事に、それぞれの立場(被害者、加害者、男女の違い、家族の形…etc)が絡む。
きっとどれかの立場に刺さるし、同じ立場じゃなくともこの考えは分かる、分かってしまう…となるのではないか。
小説紹介のけんごさんが2024年のベスト1位にしていたけど、男性にも刺さるのかな。
刺さるといいな。
似ている小説としては、朝井リョウ『正欲』が思いつきました。
自分だけは常に正しい存在でいられるのか?
また読もう。