はじめに
この note は学校のオーケストラ部の運営や裏方のノウハウについて記事にしている。
私は、母校の高校のオーケストラ部を年間数日ではあるが教えている。教えているといってもプロではないので手伝いをしているにすぎない。ただ、プロでは当たり前すぎて教えないようなノウハウやマナーについてもしっかりと教えてきたつもりである。例えば、プロの演奏指導者は年数回の指導では、「譜めくりの仕方」なんて当たり前すぎるようなことまで教える機会はほとんどないが、OBとして指導に参加するとそのような演奏以前のことへも対応することになる。マナーについても口酸っぱく言う指導者は少ないようであるのでいつもOBの役回りとなってしまっている。地方大会や全国大会等で可能な限り様々な学校の演奏を見るようにしているが、演奏の上手下手の問題ではなく、躾られてない団体は多い。躾という漢字は「身を美しくする」という漢字である。マナーを守らないと見栄えが良くなくなるどころか、トラブルや事故が発生しやすくなる。
新型コロナウィルスによるパンデミックが猛威を振るっていた2020年から2022年の3年間に、様々な学校生活や行事が中止となってしまった。部活動も活動の縮小を余儀なくされており、その結果、これまで伝統的に行われていた習慣や先輩方から伝わってきていたノウハウが廃れてしまっているのが現状である。2023年度からの部活動は通常に戻ろうとどこの団体も頑張っているようであるが、一度途切れてしまったノウハウを元に戻すのは容易なことではない。
先の譜めくりの仕方も、経験の長い演奏者なら考えなくても当然のようにできることである。しかしながら、初めてオーケストラ部に入った生徒にとっては何が正しいのか、どのようにすれば効率がよくなるのかもわからない。譜めくり以前に、コロナの影響のためプルトで譜面を共有するということがしばらくなかった。そのためプルトの表裏の感覚がなく「どちらがめくればいいんだろう?」となる。そして、めくるのに一回楽器を下ろしてしまう。めくるタイミングがわずかに遅くて弾きにくいとかそういうレベルの問題ではない。そのような状況が新型コロナウィルスによる自粛があけた2023年度の現実であった。継続していれば起きるはずのなかった問題が、3年間の中断によりあちこちから噴出している。
そのような状況を目の当たりにし、当たり前かもしれないが知っておくべきノウハウについて書くこととした。
小学校から大学までの学校にオーケストラ部は存在するが、学校のオーケストラ部が置かれている状況は様々である。団員を集めるのに苦労するような団体からオーディションをして入部希望者を振り落とす団体まで存在する。トレーナーが毎週のように指導してくれるオーケストラもあれば、予算の都合上トレーナーを呼ぶことができず音楽の先生一人で全ての楽器を教えているような学校もある。OBや後援会が教えている学校もあるし、生徒達が自力で練習している学校もある。顧問と団員との関係も様々であり、顧問は印鑑を押すだけという団体から、指揮を振るのは顧問で各楽器の演奏指導は専属のトレーナー、あるいは演奏指導まで含めて全て顧問が指導をしている団体まで様々である。
このblogでは、予算がなくあまり指導者に頼ることができず、可能な限り全てのことを自分達で行わなければならないような状況の高校、大学のオーケストラを基準に話を進めていこうと思う。また、各楽器の具体的な奏法の話題よりも楽器の管理、演奏会までの運営、部活動中の不幸な事件や不慮の事故を未然に防止するためには何に注意しなければならないか、などの裏方や団員の部活生活に関する話題を中心に取り扱う。初めてオーケストラに参加したり、初めて演奏会運営を担当したりする人が最低限知っておかなければならないことも当然書いているが、知っていれば簡単にできるような応用的な事もたくさん書くようにした。プロの人達がどの様に行っているのかを知ることは重要である。難しいことを無理に挑戦する必要はないが、知っているだけで簡単にできることはなるべく取り込んだ方がいい。
私は弦楽器奏者なので、弦楽器に関する話題の方が圧倒的に多くなってしまっている。もっと管楽器についても勉強しておかなければならなかったと反省している。管楽器は吹奏楽で慣れている人が多く、経験者としてオーケストラ部に入る人が多いので、弦楽器よりはトラブルが少ないと感じている。
このblogでは、下の言葉について可能な限り正確に使い分けるようにした。
・~してはならない。
・~しない方がいい。
・(慣例では)~のようにする。
・~した方がいい。
・~しなければならない。
慣例的に行われていることの中には、理由があって行われていることと、理由なく行われていることがある。どちらの場合でも、特に理由がなければ慣例に従う方向でこのblogは記載する。しかし、慣例の中には昔の状況では意味のあったことでも現在の状況では意味のないことや間違っていることも存在する。そのようなことについては、根拠とともに現在の状況に即した方法を述べる。
初心者にとって全てのことを正確に行うことは難しいことである。「してはならないこと」と「しなければならないこと」に気を付けるだけで大幅な方針の間違いはなくなるはずである。
Blog全体の記事の紹介です。目次としてご利用ください。
このBlogは書き溜めていたものをまとめてアップロードしたものです。
アップロード後の区切りとして書いた「あとがき」は下のページからご覧ください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?