映画の記録#02「リリイ・シュシュのすべて」
「リリイ・シュシュのすべて」
監督・脚本:岩井俊ニ
近日公開される「キリエのうた」の監督、岩井俊二さんの2001年に公開された映画。息苦しさを覚える高校生の姿が描かれる。
YouTubeでは10月6日から12日まで、「キリエのうた」の公開を記念して、「リリイ・シュシュのすべて」が無料公開されているようなので、興味のある方はぜひ。
この作品のテーマは「絶対性の崩壊」ではないか、と思った。
人間関係も、豊かな緑も、もちろん人の命も、「絶対」はない。続いて欲しいと思っても、ある日急に変化や終わりが訪れてしまう。
自分自身で「絶対」である思っていたものが、「絶対」でないと分かった時の悲しみや怒り。そして変化や終わりについていかなければならない苦しみ。抑圧された中で、それでも生きていかなければならない。
主人公の救いは「リリイ・シュシュ」の音楽。これだけは彼にとって「絶対」が続くものであった。いつでも心の支えになるものは、変わらないものであった方がいい。
しかし、その「リリイ・シュシュ」の音楽でさえ、簡単に奪われてしまう。「絶対」はない。
それに直面した時の、主人公の絶望はどれほどだっただろう、と胸が暗くなる。
「絶対性の崩壊」に対峙した時、人間は自分なりに、そのことを受け入れられるようにしなければならないのだろう。
彼らは、その方法を間違えてしまったのかもしれない。