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等速直線運動をするオノマトペ


■はじめに


パクパク、ゴクゴク、ガンガン、チュンチュン。

オノマトペ。

日常に溢れる様態を特殊な言葉で表現する事が出来るそれは、ある程度の状態を相手に伝える事に非常に優れている。

ちなみに、オノマトペの語源は「名付け」「音の響きで名前を付ける」事らしい。

オノマトペとは「焚き火の燃える音」を「ぱちぱち」、「すずめの鳴き声」を「ちゅんちゅん」と表現するように、外界の音や動物の鳴き声・人の叫び声などを模した言葉である擬音語と、「きらきらして見える」の「きらきら」や「ふわふわした手触り」の「ふわふわ」のように、事物の様態を言語音によって象徴的に表す言葉である擬態語を総称したものです。

オノマトペの語源は古代ギリシア語の「オノマトペイア」であり、「語を創ること」「名付け」という意味でした。古代ギリシアでは名付けることの前提が事物の音声による模写だったため、オノマトペは「対象の特徴を表す音の響きで名前を付ける」という原義を持ちます。

https://www.kansei-ai.com/glossary/031#:~:text=%E3%82%AA%E3%83%8E%E3%83%9E%E3%83%88%E3%83%9A%E3%81%AE%E8%AA%9E%E6%BA%90%E3%81%AF%E5%8F%A4%E4%BB%A3,%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E5%8E%9F%E7%BE%A9%E3%82%92%E6%8C%81%E3%81%A1%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

一覧を見てみるとかなりの数がある。
流石にここまで多いと、一生で一度も使わないオノマトペも存在するだろう。

例えば蝉の鳴き声で「じゃわじゃわ」なんて鳴き声があるようだ。

「じゃわじゃわ」なんて蝉の声は聴いた事が無いが、何となく暑い夏のアブラゼミと強い日差しがイメージできないだろうか。

使った事も聞いたことも無い「音」から何となく状態がイメージ出来てしまう。そんな「何となくの共通認識」がオノマトペにはありそうである。

逆に言えば「現在の私の何となくの感覚」からオノマトペを創出する事は可能では無いだろうか。

考えてみる。

■状態定義


まず、表現する状態を想定する。
動物はワンワン・チュンチュン等既存のオノマトペが多いだろうから。無機物の動きが良いだろう。

また、その無機物でも通常の動きでは既に多くのオノマトペが存在するはずだ。よって普段しない動きを表現するのが良いだろう。

スマホを例に挙げよう。
スマホ自体の機能を使ったオノマトペ「リンリン」「シャカシャカ」「ガンガン」「ポチポチ」「ピロン」等は存在するが、スマホ自体が横滑りして動く音はイメージしずらい。
加速度的に動く事自体にもオノマトペが存在する為、ここはあえて等速直線運動をするスマホに限定しよう。

スマホが滑る床面はピッカピカのツルツルではない、微妙なざらつきのある白いテーブルとしよう。

つまり
「あなたがツルっと手を滑らせて落としたスマホが、白いテーブルの上を滑って等速直線運動をする」
シーンにおけるオノマトペである。

■オノマトペ案検討


ピンとは来ないが、いくつか案を挙げてみよう。

「ツーー」
「キュゥーー」
「ルーー」
「コーー」
「スゥーー」
「セーー」

どうだろうか。
まず、母音がウである方がしっくり来る。
これはおそらく「スーと滑る」や「ツーと汗をかく」等の同一速度感のある(かつガタンゴトン等の連続性を感じさせない)オノマトペの印象に引っ張られているのでは無いだろうか。

この中で私が一番しっくりくるのは(「ツーー」や「スゥーー」を除くと)「セー」である。
「セ」の音の無機質が合うような気がしてくる。

つまりこんな感じになるわけだ。

「私はマウスを置き、天井を見上げる。目頭をつまみ疲れを押し流す。一息つこうとスマホを出すと角に引っ掛かり机をセーと滑って行った」

良く分からない。なんだセーとは。

■終わりに


オノマトペの共感覚性に面白さを感じ、自己感覚からオノマトペ創出を試みたが、なんだか良く分からないモノが出来上がった。

とはいえ、「現在無い音」を多くの人に想定してもらう事で「現在ある音」の共感覚性・イメージ・類似性をより具体化する事が出来るのでは無いだろうか。

そもそも「セー」は私が共感出来なさそうである。ガーン。

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