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上方落語のお料理① ≪鴻池の犬≫「鯛の浜焼き」と「う巻き」

 

    毎月1日が土曜日の場合は、その週の通常版はお休みさせていただきます🙇‍♀️

   

ご存じのように、落語には東京の江戸落語と大阪の上方落語がございます。江戸落語がそうであるように、上方落語にも大阪の古い言葉や文化、そして食べ物が登場いたします。今月は、「鴻池こうのいけの犬」という上方落語に登場する料理を妄想しようと思います。


 このお噺は、犬が人の言葉を話します。おもしろい噺ですが、大変長いので、全部をここに書く訳にもまいりません。そこで前半は
、あらすじをばご紹介することでご勘弁を願います。

鴻池の犬

 大阪・南本町の商家に黒、白、ぶちの3匹の兄弟犬が捨てられていたのがそもそもの発端でございます。この商家で飼われることになった3匹の中の黒犬を、大阪・船場の大商人、鴻池善右衛門がもらい受けます。鴻池宅で「クロ」と名付けられた犬は、医者が付き、広い敷地に豪勢な餌で大きく育ち、近所のボス犬となります。ボス犬とは言え、「クロ」は威張るばかりではございません。近所の犬の面倒も良く見るので、犬仲間から「鴻池の大将」などと呼ばれて慕われるようになったのでございます。近所の犬同士の喧嘩も「鴻池の大将」が仲裁に入るとたちどころに仲直りしてしまいます。

 ある春先のこと、「鴻池の大将」こと「クロ」が広い庭から外を見ていますと、ガリガリに痩せて骨と皮になり、ところどころ毛が抜けた病気の犬がヒョロヒョロと歩いているのが目に入りました。

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