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勝手にご飯映画祭1グリーンブック
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はい、またお会いしましたねー。料理が登場する映画はたくさんあります。その中で、登場する料理が何でもいいのではなく、その料理でなければならない映画があるんですねー。しかし、たいていの映画では、なぜその料理なのかには触れません。そこで、なぜその料理なのかに注目して映画を妄想するのが「勝手にごはん映画祭」なんですよ。初回は実話を基にしたアメリカ映画「グリーンブック」のフライドチキンを妄想します。
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グリーンブック
第二次大戦後、アメリカが黄金期と呼ばれるほど好景気に沸いていた1962年、ニューヨークのナイトクラブで用心棒を務めるイタリア系アメリカ人のトニーはガサツで無学だが、腕っぷしとハッタリでたくましく生きていた。
ある日トニーは「神の域の技巧」を持ち、ケネディ大統領のためにホワイトハウスで演奏したこともある天才黒人ピアニスト、ドクター・シャーリーのコンサートツアーの運転手として雇われる。社会的に人種差別が容認されていた時代に、二人は黒人用旅行ガイドブック〈グリーンブック〉を頼りに、最も黒人差別がひどい南部を目指す。
黒人奴隷の歴史
アメリカの黒人奴隷の始まりは、アメリカがまだイギリス領だった17世紀にまで遡ります。当時、タバコの生産が大規模に発展したバージニア、メリーランド、ケンタッキーなどで人手不足が大きな問題になっていました。そこで、白人入植者たちはイギリスの奴隷商人から安価な黒人奴隷を買い、働かせるようになりました。 ※この時点では奴隷売買は違法ではありませんでした。
奴隷制度は1776年のアメリカ合衆国の建国時においても廃止されず、自由の国で黒人奴隷は自由を奪われ続けました。しかし、南北戦争(1861年~1865年)でリンカーン大統領が率いる北部軍が勝利したことにより、アメリカは正式に奴隷制度を廃止しました。
ところが、解放された元奴隷たちは経済的に自立することが難しく、法律上は自由でも社会的には差別され続けました。この差別は黒人だけではなく、映画の中にも描かれているようにイタリア系やアジア系の人達にも及び、今なお完全には無くなっていません。
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黒人の好物?
ニューヨークを出発した二人は、各地で演奏しながらトニーの運転でアラバマ州のバーミンガムを目指します。途中、ケンタッキー州で、当時はまだローカルチェーン店だったケンタッキーフライドチキンに立ち寄ります。
バレル(樽型容器)でチキンを買い込んだトニーはシャーリーにチキンを勧めますが、シャーリーは「食べたことがないし、手づかみで食べるのは衛生的ではないから」と断ります。それに対してトニーは「黒人といえばフライドチキンとグリッツ(吹き替え版ではコーンミールと訳しています)、カラードグリーンだろう」と言います。※コーンミールとコーングリッツは違うものです。
何気ない台詞ですが、実はトニーのこの発言は大きな意味を持っています。なぜなら、フライドチキン、グリッツ、カラードグリーンはどれもソウルフードだからです。
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ソウルフード
トニーが黒人の好物だと言ったフライドチキン、グリッツ、カラードグリーンは、黒人奴隷が生きるために食べた、いや、それを食べるしか生き延びる術が無かった食品です。
「グリッツ」とは、野菜として流通するスイートコーンではなく、デントコーン(馬歯種)やフリントコーン(硬粒種)といった飼料・加工用トウモロコシを乾燥させて粗挽きにしたコーングリッツのことです。麦を買えない黒人奴隷はコーングリッツを粥にして食べ、飢えをしのぎました。
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「カラードグリーン」はアフリカから持ち込まれたアブラナ科の野菜で、青汁の原料のケールによく似ています。奴隷たちは、売り物にならない硬い葉を煮込んで食べました。
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そして「フライドチキン」です。これは白人が食べずに捨てる手羽先、足先、首などを、低温で時間をかけて柔らかく揚げ、骨ごと食べました。
本当のソウルフード
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