【イラストの悩み】絵描きは苦しい?
「悲母観音」という作品をご存知だろうか?
1888年、狩野芳崖という狩野派の絵師によって描かれたもので、一度見るといつまでもジッと見ていたくなるような名画だ。
私がこの絵画を見たのは小学生くらいで、名画とも知らずに見ていた。
それでも、どうにもこの絵画が気に入ってしまい、いまだに何度も見てしまう。
そして誠に勝手ながら、私はこの絵画を描いた狩野芳崖という方を、非常に尊敬している。
というのも、彼はこの「悲母観音」を死の間際まで描き続けたからだ。
※作品を描き終えた4日後に亡くなったとされる。
いまだに「悲母観音」を見ると、「絵描きは死ぬまで絵描きだ」と、励まされたような、喝を入れられたような気分になる。
・生きていくためにどうしても別の仕事をしなければならないとき。
・自分よりも上手い表現のできる人を見たとき。
・描くことを見下されたとき。
などなど、そのような場面に遭遇すると、絵描きとして苦しい気持ちになる。
時には「こんなに絵を好きでなかったら、少しは楽だっただろうか」と馬鹿なことを考える瞬間さえある。
そんな時に「悲母観音」を見れば、一瞬でそんなことは吹き飛ぶ。
たとえ財産をすべて失っても、私は地面に絵を描いているだろう。
たとえどんな仕事についていても、その合間に紙の隅にでも人の顔を描くだろう。
たとえ両手を失っても、足を使って線を描くだろう。
そう実感を持って思えるのだ。
絵描きは死ぬまで絵描き。
絵に狂うのは本望だ。
もしかしたら、死んだ後も三途の川で絵を描きたがっているかもしれない。
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