LCA(ライフサイクルアセスメント)とは?実務経験10年以上のLCAコンサルがメリットと注意点を分かりやすく解説
こんにちは!
LCAコンサルタントの小野あかりです。
近年、世界的にサステナビリティへの取り組みが加速する中、ライフサイクルアセスメント(LCA)に関する企業の関心も高まっています。
そこで、
◆なぜサスティナビリティへの取り組みにLCAが関係してくるのか?
◆企業がLCAに取り組むメリットはどこにあるのか?
◆逆に注意点はあるのか?
に関して、コンサルタントの視点から解説をしていきたいと思います。
ライフサイクルアセスメント(LCA)とはなにか?
ライフサイクルアセスメント(LCA)とは、製品やサービスがそのライフサイクル全体(資源の採取から製造、流通、使用、廃棄まで)においてどのような環境影響を与えるかを定量的に評価する手法です。
例えば、、、
"スマートフォン"をLCAで評価する場合、
ライフサイクルとして下図のような工程が想定されます。
その全ての工程において、どの程度
◆二酸化炭素(CO2)排出量が出ており、
◆水が消費・使用され、
◆土地や生態系へ影響を与えているのか etc...
というような、環境に与える影響(環境負荷)を数値化していく手法がLCAになります。
従ってLCAを活用することで、企業の活動や製品開発が本当にサステナブルなのか、という判断を行うことができます。
その意味で、LCAはサスティナビリティを推進していくための重要な手法になります。
世界的にも重要とされるこの手法は、国際標準化機構(ISO)の14040, 14044で規定されています。
企業がライフサイクルアセスメント(LCA)に取り組むメリット
企業がLCAに取り組むメリットは多岐にわたりますが、主要なものを以下にいくつか挙げていきます。
環境影響の可視化
LCAは、製品やサービスが与える環境影響を定量的に可視化します。これにより、どの段階でどのような環境負荷が発生しているかを明確に把握できます。持続可能な製品設計
LCAの結果を利用することで、製品設計の段階で環境負荷を最小化するための具体的な改善策を検討することができます。これにより、より持続可能な製品を開発することが可能になります。環境パフォーマンスの比較
異なる製品やサービス、または同じ製品の異なるバージョンの環境パフォーマンス(CO2排出量が少ない製品・サービスはどちらか 等)を比較する際にLCAは有効です。これにより、環境に優れた選択肢を選ぶことができます。規制遵守と市場競争力
多くの国や地域で環境規制が厳しくなる中、LCAを実施することで規制遵守を確実にし、市場での競争力を高めることができます。環境負荷の低減は企業のブランド価値を向上させる要因ともなります。利害関係者への説明責任
LCAは、企業が環境に配慮した行動を取っていることを利害関係者(顧客、投資家、規制当局など)に説明するための有力なツールです。透明性の高い報告が信頼性を向上させます。
特に最近では、欧州においてグリーン・ディール政策やグリーン・ウォッシュ規制などの動きも出ており、企業の環境対策に対するこれまで以上の正確な評価が求められています。
そういった意味では、LCAは算定方法にこだわることでかなり正確な評価結果を出すことができる強力なツールになります。
今後も、日本を含め世界全体で環境規制を厳しくする動きは加速していくと考えられますので、いざLCA評価結果を求められたときに焦ることのないよう、早め早めに対応していけると良いですね。
ライフサイクルアセスメント(LCA)を算定する上での注意点
メリットが沢山あるLCAですが、算定の際には注意点がいくつかあります。今回は、特に注意が必要な項目を2つ挙げました。
LCA算定結果はデータの精度に依存する
LCAの算定には色々なやり方があり、どの方法を取るかによって結果の信ぴょう性が大きく変わってきます。
例えば、、、
スマートフォンを製造するための資源(金属鉱物など)の採掘量がどのくらいだったのかを求めるときに、
◆実際にヒアリングを行った数値(「一次データ」と呼びます)を活用するパターン
◆論文や報告書から得た平均値など(「二次データ」と呼びます)を活用するパターン
の2パターンが考えられます。
基本的には一次データを活用していくことが望ましいですが、ヒアリングで追いきれない部分ももちろんありますので、その場合には二次データを活用していくことになります。
二次データの場合、実際の数値より過大・過少評価になることがありますので、一次データを活用した結果の方が信ぴょう性が高くなってきます。LCAの評価範囲をきちんと確認する
通常LCAを算定する際には、原材料調達から廃棄までのすべての工程を評価範囲として設定することが多いです。
しかしこの評価範囲を、製品・サービスの製造段階から廃棄まで、と狭く設定している場合もあるので、類似製品同士の環境負荷を比較する際には注意が必要になってきます。
上記の他にも、排出原単位に関する注意点など専門的知識を要するものもありますので、算定に不安をお持ちの方は一度専門家にご相談いただくことをオススメします。
最後に
今回は、ライフサイクルアセスメント(LCA)とはなにか?メリットや注意点は?というテーマで解説を行いました。
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