【詩】花粉症⓵
またひとり、こちら側から居なくなる
誰かの家族で、誰かの親友で、誰かの大切な人
私にとってはどれでもない人
今年の春も、こちら側から居なくなる
私にとっての親友
「毎年この桜、一緒に見ようね」
彼女と交わした約束を
今年は果すことはなかった
少なくとも私側からしたら
彼女の姿は隣にない
私にとってどれでもない存在のその穴が
親友のそれならば
今年の桜は
いったい私のどこに散るのだろう
私がいっぱい掴んでも
今年は花びら分け合えないね
あなたが居たからここで長い時間を過ごせてたのね
私のどこかに散っていく花びらを
私の穴をいつまでも埋められない花びらを
一人では、そう長く眺めていられない
「うそつき」
桜の下に留まれば
私の口からその言葉がこぼれそうで怖かった
果たせなかったと言えるのは
私側だけだから
彼女との約束を再開するのは
私がこちら側から居なくなった時
私が誰かとの約束を果たせなくなった時
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?