もぬけの夜。犬の形の犬を拾った夜。
★前回の記事につづく内容となっています。
※時間がないのに、書いているのわたしって、「なあぜなあぜ?」
とか、YouTubeで家族が見ているやつの真似すると、本当に悲しそうな憐れみの目で子供は親を見る、おまえらは、そんな大人になるのか、ならないのか。「もう、それは古いよ、お母さん」
検査ができない、と言っても食い下がらず、「前にも何度も膀胱炎でみてもらっています」と訴えたが、いないもんはいない。やはり自分の職場の病院で恥を忍んで、膀胱炎で検査してもらえますか?といえばよかったのか。
バス停に行く。雨は上がってる。ベンチに座ると、尻が半分濡れ気味で、これでは、下腹部を冷やし、細菌の活動を【活性化】させるのではないかと思ったけれど、病院調べをするために、スマホを繰る。どこも中途半端な時間で、元気なら、ススキノとか中心部の方に、遅くまでやっている泌尿器科とかあるよなと思ったけれど、体調が悪いから病院に行くのに「ワザワザ」遠くに行く必要なんてわたしには、ないのだ。
自宅から、数分のところの内科で診療時間に間に合うところを発見する。ホームページも自院のではなく、昔ながらの医院といったところで、行くのがなんだか楽しみになる。
家族に自転車を届けてもらうようにお願いし、バスに乗りながら「もぬけの考察」を読み進める。
世界の見え方が変わる文体に、怖くなりながら、一駅分またうとうとする。
バスを降りて、わたしは自転車に乗り、家族には走らせる。
まるで、犬を自転車で散歩する飼い主。非道。
人非人 人非人 非人非
自転車でもう、膀胱が痛いから堪忍して、と言ってわたしは、夜の方へ吸い込まれるように自転車をこぐ。サドルは今日いっぱい降った雨のおかけでもちろん濡れている。
医院は、住宅街の中に突然現れる。
自転車を降りると、尻の部分は濡れていた。
灰色のズボンをはいていなくてよかった、と思うけど、この暗い夜の中では誰も気に留めないだろう。
医院に入ると、患者は皆無だった。古い病院の雰囲気って大好きで、受付の感じとか、病院の壁紙とか、観察する。
尿検査をとりおこない、心がほぐれていくのがわかる。
待ち時間に、また本の続き。
診察で呼ばれ、部屋に入ると、面長の年配の医師が唸っている。
「炎症反応はでていないんだよね」
つまりわたしの痛み苦しみ残尿感などは、未満ということだった。
「症状はあるんだよね?」
質問に答えると、薬を出してくれることになった。でも、続くようなら泌尿器の病院に行ってください、診察終了となる。
病院を出て、これも古めかしい調剤薬局へ。
局内にはスーパーカーのフィギアがアクリルケースの中に入って、飾られていた。
処方箋を見て、
「膀胱炎ですか?」
と言われる。
「そうです」と答え、薬を受け取った。
自転車には乗らない。
住宅街は静かで、低い建物ばかりで、迷路のように入り組んでいる感じがした。
空をみると、雲は海岸のすなのように、黒い空に散り散りに張り付き、月が姿を現しそうな、兆し、これから、なにもかもが起こらない、兆し、暗示にかかるなわたし、としっかり自転車を従え歩く。
わたしの日中は、もぬけの殻で、行く道行く道が恐ろしく膨らみ、どこからともなく煙草のにおいが流れてくるけど、人はおらず、こんなに寒い寒いと思っていたのに、戸建ての住人は一様に窓を開けたりして、中の居住空間がまるみえだったりした。
怖い。怖かった。
怖かったから、回り道をして、商店街を通って帰る。
(御自由にどうぞ)
喫茶店の軒先に置いてあった、陶器の犬を二匹、もらって帰った。
夜は、実家からもらったイクラと、唐揚げを頑張ってあげて、薬をのんで、ねた。