またあうひまで
二時からボランティアのため、やっつけで家事をこなす。
食器を洗おうと思ったタイミングで、一人がシャワーを浴びることになった。え、今かい。
うちは、ふるいからか、台所でお湯をつかうと、お風呂のお湯の出がわるくなる。
急いでいるときに限って、タイミング悪い、とひとりでイライラしてしまう。
帰ってきて(個人的な外出だけど)食器がたまっていると、ゲンナリするからな。
身支度が間に合わない!GyaO!
午前の時間にもっと、効率的に動けばよかったと、いきてきて何万回目なのかまた思う。
あわてて天気予報を確認する。よし!
バスで行くには、もう間に合わないし、ということで自転車。
スケジュール的に、がんばって運転しなければ着かない事がわかり、自分の体力を信じて出発。 天気もいい。風も心地よい。
しかし、すごく急いでいたため、人々を追い抜かして、急ぐ。景色を見ないで向かう。
途中の公園で、時計をみたらまだ10分しかたってないのに半分以上進んでいた。
よし。間に合うと確信して、ふつうにこぐ。
大きな公園を通り抜ける。護岸工事された用水路にちかい川を、すすきが囲っている。
雨の名残が、道路のあちこちに
池にはボートの親子が一組。子供はライフジャケットを着ている。
ライフジャケット? もしかして、貸し出ししてくれるのかな。
鴨が、岸でまるまっていた。
でがけに急いでいたため、ろくすっぽ昼ご飯をたべていなかった。
そういやあなあ、こないだモノすんごいおしゃれパン屋を近くに発見したな、と思い、自転車で乱れたぼさぼさの髪をすこしなおしてから、パン屋へ。
ああ、こんな感じか。。。おしゃれだし、高い、けれど買わないとな。一個じゃなんだかだから、二個買う。
ボランティア先の施設の近くに小さな公園があったから、そこで食べようと思いつき移動したが結局、腰をおろしてたべるには時間がないことに気がついて、施設の近くに自転車をとめて立って食べた。誰にもみられていない自信はある。
ひとつめ。チャバッタという聞き慣れないパンだったけど、もちもちしていて美味しかった。中にチリっぽいソースと、ソーセージが入っていた。
もうひとつは、時間がなくて食べるのも断念。コーヒーも自販機で買いたかったけど(周囲にコンビニなどがまったくなし)時間切れ。
施設につくと、前回対応してくださった担当者の方が、また案内してくれる。
前回と同じフロアに通される。
施設のスタッフの方に挨拶をして感じるのは、本当にとても教育が行き届いているなあ、という感じ。
挨拶がきもちよいのだ。嬉しいな。
前に通された所に、あの女性が座っている。
あの女性とは、欠損した歯の女性。きらきら星を一緒に歌った女性。
こんにちわ、と声をかける。
先日はなした、もうひとりの女性の方の所在を尋ねると、もうすぐ来ると思うとスタッフの方が教えてくれる。
スタッフの方が一緒に遊ぶ用の、ゲームを用意してくれたのだけど(黒髭危機一髪)絵本をもってきたので、読んでも大丈夫かを確認すると、OKしてくれた。
わたしは出がけに、20分くらいでこしらえた、『りんごのうた』という自作の絵本をとりだす。
「今日は、本を作ってきたんですけど読んで良いですか?」
わたしが、言うと、その方は嬉しそうに笑った。
こんにちわ
まっかな、りんごです
歯のじょうぶな りんごです
どうして 赤いの?
それはね・・・・・
あ!
まっかなトマトをたべたから
春にチューリップをみたから
きんぎょがすきだから
ほんとはね
あなたが だいすきだから
またね
また あいましょう
『りんごのうた』はこんな話
百均のseria(心の中でいつもセリエAと発音している)で見つけた白紙の絵本を使って作った。
ZINEを作ったときに、こりゃあ便利だなと、思っていたけど、いいアイデアがひらめいた。よっしゃ。
うちにある絵本は、もうほとんど処分してしまったり、押入にしまいこんだりしていたし、既存の絵本をただ読むのは?
ありきたりかな~なんて思って、よし作ろう!!
つくるなら、前回関わった人が、たのしめるものにしようかな? なんて思っていた。
わたしは、おおきな声で絵本をよむ。ゆっくりページをひらいて、目の前の女性が、驚いたり笑ったりするのにあわせて、本を読み終えた。
それから、もうおひとりが、歩行器を操って到着。またご挨拶する。
りんごの本を読んだからか、りんごの話ばかりになり、三人でほとんどの時間を、『りんご~かわいや~かわいやリンゴ~』とうたって過ごす。
今回わたしは、涙ぐんで感傷的になったりすることはなかった。
相手のしわの寄った顔の中に、今まで生きてきた歴史がつまっていることを、なぜだか自分のことのように誇らしく思えたのだ。 一緒に生きているという感じがしたのだ。
また、絵本を開いたりしているうちに、おひとり、お姉さんの方の女性が、「この本はだれがつくったのか」と聞いてきたので、(何度かわたしが作ったんですよ)とは伝えていたが、「わたしが、描いてきたんだよ」と答えると、すごい、すごい、と褒めてくれたので、嬉しかった。
もう一度、絵本を読む。
あなたが、だいすきだから の所で、お二人のてをにぎる。
二人の手は、ひとりはやわらかくて、ひとりはすこし固い。
「きれいな手ですね」とわたしは思ったことを口にする。
わたしの手は、「ほら、賢い手だね」と言われて、照れる。
わたしの手の平を見た人は、たいてい「手相濃!!なんで?」とか、言うのだ。コンプレックスのひとつなのだ。だから、余計嬉しかった。 わたしの手を握って、「あったかくてきもちいい」と笑う。
人って、いいな。
誰だって、優しさを交換するような関係を望んでいるのだ。
また、きますね。と、絵本の最後みたいに言う。あっという間、 ゆるやかに、時間はながれていたのだ。
そのときは、またお話しましょうね、といって失礼する
エレベーターのところで、スタッフの方に「対応が上手ですね」と言われたので、驚いた。
わたしのやりかたで、なんとか大丈夫そうだ。
次回の訪問は来月になるだろう。
紅葉は、もう終わっているだろうか?
大切なものを受け取った気持ちで、外へ。空気が気持ちよい。
ゆっくり、感じたことを整理しながら過ごしたいところだけど、グループ展をやっているギャラリーまでは遠く、急いで地下鉄の駅まで、自転車で移動。
地下鉄にのりこんで、本を鞄に入れてきていなかったことに気がつき、後悔。 Twitterとかニュースとか確認。
ほとんど降りたことがない地下鉄駅に到着。 でも、知っている地域だったので、なんとなく地図を見て、勘で進む。
わたしは、土地勘がほんとうによいのだ!
なんとなく、場所がわかったりする。知らない土地でもだ。
だから、迷うことがないから、逆につまらなかったりする。もっと知らない事を知りたいのに…と残念になることもある。 路地にはいって、さっき食べられなかったパンをこっそりかじりながら進む。 中にチーズが入っていて、生地のゴマがアクセントになっていて、おいしい。 途中の工事現場の、基礎工事の写真を何枚か写す。
大きな寺を通り抜けて、ャラリーに到着する こんなすてきな所、あったんだ! と敷地に入った瞬間、様々な予感とともにガラスのドアを引く。
茶廊法邑
知人の姿をみつけ、声をかける。ひととおりお話して、わたしの作品を読んでもらい、主催している文芸誌に載せてもらえることになった!
作品づくりの話や、小説を取り巻く出版のことなど、わたしが普段求めに求めている会話を、わずかの間だが、することができた。
知人の作品の、蝶のコラージュに虫ピンが刺さっていて、印象に残る。戦禍の風景が静かに表現されていた。強い。血のような赤。
わたしも、なにか作りたいと刺激された。
他にも素敵な作品が、他の方のも、素晴らしくて、もう少し鑑賞したかったな。
グフフ。
長く話したかったけれど退散。
家族の定期テストの勉強の予定にあわせ、夕食は七時までにつくらなきゃだから寄り道せず。 自転車はさすがにおいて帰ることにする。
家路へ。
とにかく、完成させなさい。
知人は小説のことをそういった。
だよね、だよね。がんばるしかないね。やるっきゃないでしょ。なんにも始まんないでしょ。
地下鉄は乗り換えで、ひたすら歩く。コンコースの人々とわたしも、同じ群のように歩く。
帰宅。
絵本をよろこんでもらえたことを家族に報告。自分が、まるで、子供のようになって、子供に報告しているから、おかしかった。
急いで夕食の準備。
奉行にといでもらっていた米が入った無水鍋を火にかけ、冷凍のサンマと柳葉魚を焼く。 卵とマヨでサラダ。 鶏肉に焼き目をつけて、ズッキーニと、じゃがいも、レタスで、蒸し焼きをする。にんにくスライスして投入。バターも少し。いいにおい。 あとは、つけ込んでいた人参と大根のピクルスを。
ひとりが、お茶漬けにするというので、お湯がわくまで、YOUTUBEでMrs.GREEN APPLEの動画をみんなでみる。
ボーカルの大森さん。ダンスのセンスがすごい。才能と才気が爆発。わたしが、中学生ならばきっと大好きになっていたかなあ。嫉妬していたかも。 家族の影響で動画をよくみるけど、かっこいいなと思う。好きなものが増えてうれしい。
夕食が終わって、食器洗いを放置して、今日のことを忘れないため日記。と思ったら少し寝落ち。
あしたは、朝いちで、自転車をとりにいくので、鞄に何の本を入れていこうか、考えるのが幸せ。
日が変わるまえに、眠る。そして朝は書くのだ。とにかく、かくのだ。