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低塩で漬け込み⇒天日干しを二度繰り返した氷見稲積梅は美しく大きく果肉が厚く、そして非常に酸っぱい(氷見稲積梅その3・完成編)

青梅の固さが未だ残るうちから10%程度の低塩で塩漬けを開始し、天日干し⇒梅酢戻し⇒二度目の天日干し、と独特な漬け方をする氷見稲積梅。先日ようやく二度目の天日干しを終え、真っ赤で美しい梅干しができあがった。

一度目の天日干しの時にも書いたが、この梅は紫蘇の赤い色が感嘆するほど美しく染まる。
初回の天日干しを経てその色は一旦褪せたが、梅酢戻しを行うことで再度美しい赤色を取り戻し、二度目の天日干し後は落ち着いた深紅に。

改めてその色の変遷を追ってみよう。

①天日干し初回開始時

真っ赤ですが今見ると染まりが甘いかな

②天日干し初回2日目(まる一日干した後)

ほんのり褪せた感じの色がかわいい

③天日干し初回終了、この後梅酢戻し

だいぶ色が褪せた

④天日干し二度目開始時(梅酢戻し二週間後)

すごく真っ赤

⑤天日干し二度目終了

天日干しを終えた直後は特に色が褪せて見えるが、少し経つとその色は落ち着く。
結果的に全期間を通して皮破れや産膜酵母、カビ等のトラブルは一切なく、たいへん漬けやすく仕上がりも美しい、高品質の素晴らしい梅であった。さすがふるさと納税返礼品。ありがとう氷見市のみなさん、おかげでこんなに立派に漬け上がりました。

生梅⇒漬け上がりの重量は64%。低塩で漬けられているので梅酢への流出は少なめ。大粒でしっかりと果肉が厚いので、干してもカラカラにはなりにくい。

そして梅があれだけ真っ赤に染まっただけあって梅酢の色も濃く、ゆかりもたいへん良い香り。
この氷見稲積梅と谷沢梅にはその時期たまたま立ち寄った白河の直売所で購入した赤紫蘇を使用。非常に香りが良く色の反応も鮮やかで、梅たちを美味しそうな色に染め上げてくれた。

ゆかりは極力カラッカラになるまで干しました
ありがとう白河の赤紫蘇

昨年は梅ボーイズさんおすすめの後入れ法で紫蘇漬けしたので、ゆかりを干したのは今年が初めて。比べるとやはり違いは出た(※改めて書こうと思う)。この赤紫蘇は本当に香りが良く、袋を開ける度にうっとり。
元々ゆかりは好きでよく買って使っていたが、手作りするとこんなにも香りが良いものなのねと今年は感心しきりだった。

さて、そんな時間と手間と愛情をかけて干しあげた氷見稲積梅の梅干し。同じ赤紫蘇を使った谷沢梅と並べて味見してみる。

色はどちらも綺麗な深紅。今年他に紫蘇漬けした品種と比べても赤が深い。
塩分は谷沢梅は14%、氷見稲積梅は12%で漬けた。赤紫蘇は20%の塩であく抜きしているので、できあがりの梅干しはもう少し塩分が上がっているはず。

ではでは実食。
谷沢梅は箸でちぎれる柔らかさだが、氷見稲積梅は噛むと「ぷちっ」と音がしそうなしっかりした皮。この丈夫な皮も特徴的で、それ故に皮破れが起きにくいのだろう。

両者とも中までしっかり真っ赤に染まって美味しい、そして氷見稲積梅

酸っっっぱ!

酸っぱい。
とても酸っぱい。たいへん酸っぱい。
びっくりした。目が覚める酸っぱさだ。梅干しは酸っぱい方が好きな私でも驚く強い酸味が口内に広がる。
おそらく、青いうちから低塩で漬けているので梅そのものの味に近い風味が残っているのと、まだ干したてで味が落ち着いていないことの双方の理由からだと思われる。落ち着くともう少しまろやかになりそうな感じはする。でも酸っぱい。なんというか、元気で勢いのある酸っぱさ。

氷見稲積梅はクエン酸・リンゴ酸が豊富だそうなので、それ故の酸っぱさなのか。

いやでも他品種の酸っぱさとは質の違う酸味、生っぽいと言おうか、より摘みたての生梅を思わせる味なので、おそらくは漬け方由来な気がするなあ…。確かめるとすれば、もっと塩分高めで梅干しを漬けてみるか、梅漬けとして漬けてみるか。

いずれにせよまた違った漬け方で試してみたい、そんな興味を抱かせる個性的な氷見稲積梅であった。楽しい梅仕事でもあった。
大事に食べよう。

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