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山形青菜(せいさい)に地ビールソフト、ふるさとの味を求めて「道の駅にしかわ」、及び近隣地区におけるせいさい販売状況

3週間ほど前の週末、1泊で山形へ行った際の2日目は、山形市からレンタカーでこの駅を目指すところから始めた。

「道の駅にしかわ」

山形のほぼ県央に位置する西川町にある道の駅で、温泉施設が隣接、さらに山形県内で唯一地ビールの醸造所も併設されている。来るのは初めてだが、今回旅の収穫を最も期待していた場所だった。
それは何故か?
西川町が父の郷里だからである。
私は秋田生まれで山形に住んだ経験はないけれど、実家で食べた郷土料理として記憶しているものの殆どが、後々考えれば父の手による、若しくは父の実家から送られて来る山形の味だった。当時はまだ田舎料理のありがたみもわからず、都会に出ることばかり考えて興味もろくに持たなかったが、近年はふとそういう昔の味を思い出し、食べてみたくなる。
故に山形の郷土料理を調べてつくってみる機会が増えたのだが、中でもやはり父の実家近くの市町村発の情報に私の欲しい情報、興味のわく内容が該当することが多い。このため数十年ぶり(記憶はほぼない。ごく幼い頃に一度連れられて行ったきり)に西川町を訪れてみようと思った次第である。

月山の麓に広がる西川町は面積の95%が森林で占められ、山深く、寒さも険しい土地だ。だが山形市内からはそう遠くなく、高速道経由なら40分、一般道でも1時間もあれば到着できる。かつて母からはよく父の実家はとにかく厳寒で行くのも大変と聞かされていたが(道央育ちの母が「寒い」と言うのだから相当なものだ)、少なくとも町の中心部へのアクセスは悪くはない。現に日曜朝10時の「道の駅にしかわ」は想像よりもずっと賑わっていた。温泉や食事目当ての客で本格的に混雑する時間帯にはまだ早いものの、買い物に立ち寄る客が引きを切らない。

売店「いきいき直売所」に入ると、扉近くで最初に目につくのは山ぶどうの原液やジュース等、山葡萄の加工品。父が昔よく買って帰ったのでなじみが深い。私は今も山葡萄のジャムや山葡萄系品種のワインを見つけるとつい嬉しくなって買ってしまうし、干し山葡萄も愛用している。普通の干しぶどうほど甘くなく、葡萄の皮の風味が濃いところが好き。

それと、今回最も現況が知りたかったのが青菜(せいさい)。
山形の代表的な漬物野菜であるせいさいが出回るのは、他の菜類と同様霜が降りる11月以降。この時期に山形に来れば生のせいさいが簡単に買えるものなのか否かが知りたかった。少なくとも山形駅近辺のスーパーでは見ていない。が、ここでは店内中央にどーんと採れたてのせいさいが山積み。だいたい2kgがひと単位のようで、長い葉は折り畳まれているため新幹線で持ち運べないこともなさそうだ。今年の分は既に取り寄せて漬けてしまったが、以後この時期に山形に来る予定があるなら、せいさいは買って帰ってもよさそう。

上の写真で隠れていたおみ漬けレシピ。さすが本場、単位が大きい…。

もちろん青菜漬とおみ漬もお手頃価格で販売。漬物の種類が非常に多い。

なお、生せいさいはこの後たまたま通って立ち寄った西川町のお隣朝日町の小さな直売所と、更にお隣白鷹町のスーパー「OHBAN」でも確認できた。販売数はそれほど多くなく、いずれの店舗も昼前後で残りは1~2束。やはり確実なのは西川町のような比較的大規模の直売所かも知れない。

スーパー「OHBAN」のせいさいは長いまま梱包(これを電車で運ぶのはなかなか…)。ここでは「青菜漬の素」も発見した。

「マルジュウ」は山形ではスタンダードな味醤油、信頼のブランド。

さてさて、話を「道の駅にしかわ」に戻すと、物販コーナーは私が思わず目を留める品、買いたくなる食材でいっぱいだった。なんとか理性を取り戻して買い過ぎは回避したが、私の舌はやはり父の手で秘かに、かつ丹念に山形寄りに仕込まれていたと再認識。思っていた以上に私の舌は山形、それも西川町に近いようである。

見慣れた山菜・きのこの水煮類。学生時代よく実家からこういう食材がぎっしり詰まった箱が送られてきたけれど、当時はうまく調理できずもったいなかった
塩蔵の食材が多いのもこの辺りの特徴。雪に覆われている期間が長いため、春から秋にかけて作物が採れたらとにかく干すか塩漬けするかして保存したのだろう
最もたくさん売られていた塩蔵わらび干し。これを戻して煮ると美味しいんですよね…。手間もコツも要るので今回は自信がなくて買わなかった

以前つくったしそ巻きの具も発見。やはりこうして売られているものなのね…。

今回買って帰ったのは以下の品々。
「かたくり干し」はもしかしたら食べたことがあるかも知れないが、意識したことはないので試しに買ってみた。あけび干しも、扱うのは初めてだが食べたことは何度もあったはず。「鳶たけ」も名前を見て思い出した。何度も食べたことのある、ちょっと香ばしい感じの美味しいきのこだ。この「素」を使った炊き込みご飯は確実に美味しい。間違いない。

それにしても、おみ漬けレシピの単位も大きかったが乾物の販売単位も大きい。あけび干しもかたくり干しもこの半量でいいんだけどな…と夫婦世帯の私はつい思ってしまうけれど、大家族が基本の山形ならこれが標準なのかも。

買い物の後は、楽しみにしていた名物「地ビールソフト」。物販コーナーに隣接しているレストランの営業は11時からだが、ソフトクリーム各種は道の駅の開店時刻(9時~)から購入可。これを目当てにやって来る客も多いようで、黄色っぽい色のソフトを手に車へ戻って行く方々がちらほら。

思ったほど寒くなかったので、晩秋の山の景色を眺めつつテラス席で。空気が綺麗で、吸い込むとたいへん気持ちが良い。

アルコールは抜けているが、舐めると麦芽っぽい香りを割としっかり感じる。地ビールの匂いが苦手な方は少々酔ったような気分になるかも知れないが、好きな方はくせになりそう。私は気に入りました。

そんな訳で、思った以上の成果を得て好調な滑り出しとなったこの日の山形道の駅めぐり。
この後「道の駅あさひまち」と「道の駅白鷹ヤナ公園」をめぐったが、いずれもなかなか個性的で面白かったので、それについてはまた別記事で。


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