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ふるさと納税でどーんと大箱4.5kg、福井県越前町から福井梅(紅映梅)来る〜追熟梅はエステルの香り?(福井県産紅映梅その1)

全国のローカル梅について調べ始めた昨年、「今年は(時期が遅過ぎたり購入先が見つけられず)入手できなかったけれど来年はぜひ」と思っていた品種がいくつかある。その中でも心の優先順位が最も高かったのが、福井県のローカル梅の代表品種「紅映(べにさし)梅」。

その名前を知ったのはTBS「マツコの知らない世界」の「梅味の世界」だった。番組内で無印良品のねり梅に採用されている品種として紹介されていたのが紅映梅で、まろやかな酸味が特徴とのこと。
あの無印が日本で最も有名かつ生産量の多い南高梅ではなく、敢えてこの品種を選ぶのは相応の理由があるはず。しかも紅映梅の生産量は決して多くない。むしろ希少だ。ならばよほど美味しいか、或いはねり梅に加工した際に味が引き立つのだろう。

その後福井県のアンテナショップで紅映梅の梅干しを購入したところ、かなり好みの味だった。酸味は強めだが全体的にまろやかで、気分がちょっとだけシャキッとする。その加減が良い。

自分用のおにぎりをつくる時や食事にひと粒美味しい梅干しを添えたい時、選ぶのはだいたいこの紅映か神奈川の十郎・杉田、埼玉のべに梅あたりで、昨年一年で相当数の梅干しを購入したが、その中でも三指に入る好きな梅干しだと思う。

それゆえ今年は是非とも紅映梅を手に入れるべく、産直サイトやふるさと納税も含めて予約先を探した。すると福井県越前町の返礼品に紅映梅4.5kgを発見!やや量は多いが、何より確実な手段である。すぐに申し込んだ。

それから5ヶ月ほど経って、届いたのは日曜の午前便。ふるさと納税で生鮮食品を申し込んだ場合、土日に合わせて届けてくれる自治体が多いように思う(私個人は平日の方がありがたいが、事前の曜日指定は殆ど不可)。

箱の側面
福井といえば恐竜

クール便で届いた梅はまだ青々として固く、梅干しにするなら追熟が必要。とはいえ折角この状態で届けてくれたので、小さめで固いものを選別してカリカリ梅に。残りは追熟させて順次梅干しにして行くことにした。

今回届いた実は、小さなもので直径4cm未満、平均的に4.5~5cmで重量は30~33g程度。紅映梅は大粒の品種ではないため、比較的大きなものを送ってくれたようだ。青梅ということもあり密度が高く、しっかり果肉が詰まった良い梅だ。さすがふるさと納税。

届いた当日に仕込んだカリカリ梅。塩分は10%で梅パリ使用、要冷蔵。

その後は熟が進んだ分から順次ファスナー袋Lひとつ分(1kg~1.2kg)ずつ仕込んでいった。せっかく袋を分けるので、塩も3種類使って食べ比べる。塩分はこの後気が向いてしそ漬けするかも知れないので、しそ漬け後に18%程度になるよう15%で統一。

青かったので追熟にも日数がかかり、水曜日(まる3日)、木曜日(まる4日)、金曜日(まる5日)と3日に分けて仕込み、昨日やっと全て漬け終わりほっとしている。追熟中の梅があると乾き過ぎないか、蒸気がたまってカビたりしていないか、心配で気が抜けない。

今回は新たな塩を試してみた。梅ボーイズさんおすすめの通称「ハイビスカスの塩」こと「天日海塩」。オーストラリアの海水を2年間かけて乾燥させた非加熱の塩で、細粒でとてもしっとりとしている。梅とのなじみも良い。

リーズナブルな五島灘の塩にがりタイプ
こちらハイビスカスの塩
この粒の大きいのはまた別途書きますがやはりオーストラリアの原塩

梅酢は順調に上がっているが、もしかしたらやや追熟させ過ぎたかも知れない。梅酢が上がった段階で思った以上に柔らかい。これでは重石があると梅がつぶれてしまう。

また、大箱で届いたのでどうしても傷のある梅がいくつか見られた。表面のしみ程度なら構わないが、内部まで黒ずみが浸透しているものは虫食いや病気の可能性があるため該当箇所を切り取り、切断箇所にしっかり塩をまぶすようにして漬けた。

こういうやつ

青梅の未熟な状態で届いたからか、熟が進むにつれ辺りに漂っていた香りは、これまで扱ってきた他品種とは趣が多少異なった。
良い香りではあるのだが、青いバナナが熟していくような、青っぽさを含んだ香り。「安息香酸メチル」と最初に思い浮かび、続いて高校の頃部活で同様に生成した(文系だが化学部だった)酢酸エチルやフェノール系エステルの香りを思い出した。これまで梅の香りでエステルを思い出したことはついぞなかった…というより、当時の部活を思い出したことがなかったので、自分でも驚く。

ウメにはエステル類やラクトン類が含まれているようなので、私の鼻がおかしなわけではないようだが、記憶とはおかしなものだ。
私のいた化学部はちっとも熱心でなく、趣味でエステルを生成しまくる先輩やいろんな石鹸を作りまくる先輩がいて、ガラス班と言いつつガラス細工や七宝焼にいそしむ班もあった。私の代は何故か文系も含め女子が多く入部し、理系男子揃いの先輩方は驚いていたが、嬉しそうでもあった。
何やってたのかなと思うような部活動ではあったが、おかげでこうしてエステルについて思い出したりするから楽しかったのだろう。

そんな訳で、紅映梅の続報はまた天日干し若しくはしそを入れるタイミングで。

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