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【おうちで漬物】#35 山形の冬の幸、2年目の「青菜(せいさい)」漬とおみ漬けの仕込み
昨年たまたま入手でき、初めて漬けたせいさい(青菜)及びおみ漬け。とても美味しく漬かったけれど、今年も同じ方法で青菜が入手できるとは限らない。なんとか確実に入手できる手段はないかと探していた。唯一事前予約できたサイトで先月末に予約し、昨日届いた。やった!
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青果物のお取り寄せをすると、地方紙に包まれて箱に入っていることが多い。これが毎回楽しみで、今回も青菜を取り出した後に山形新聞を熟読。地方紙ならではの地元の話題を読むのはとても好きだ。
さて、今回買ったのはせいさい4kg。2kg入りが売り切れていたため次に少ない4kgを購入。箱の中にはおそらく2kgずつの束がふたつ入っていた。
青菜を漬けるにはまず洗って天日干しから始める(順序は逆でも)。流し台に青菜を出し、特に根元にたまった泥を意識して落とす。葉についた虫も見落とさないようよく洗い、ざっと水気を絞って屋外へ。
昨日は空気もカラッと乾き、明るい日差しも申し分ない絶好の天日干し日和だった。午前中に干していた布団を取り込んだ竿に、洗ったせいさいを並べていく。梅干しを干す時もいつも思うけれど、横浜市内のマンションではあまり見ない光景だ。横浜でも畑の多い地域ならそうでもないが、ここは都市部に割と近い住宅街。野菜や梅を干す家にこれまで遭遇した試しはなく、我が家の庭が見える方には「何してるんだろうこの家」と思われているかも…。
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竿にかけ切れなかった分は、梅を干す際にも使う平たいトレイに。昼間の強い日差しの中で半日も干せばしっかり乾いている。山形では「数日間干す」と書かれた漬け方が多いが、それは日差しの弱い日本海側の冬のお話。こちらで同じやり方をすると乾きすぎて縮んでしまう。
取り込んだら改めて重量を計測。その6%の塩と、青菜の半量の水を用意して下漬けを行う(=全体で塩分4%)。天日干し後に計量したところ、せいさいは全部で4.9kg。このうち4.2kgをせいさい漬、残り700gをおみ漬けにする。よって塩は252g、水は2.1ℓ。下漬けの水は本漬けの際捨てるため、さほど高級な塩を使う必要はないと思う。大量使いをしても勿体なくない程度の自然塩を。
漬け樽に干した青菜の葉の部分をくるくると丸めて詰め、計量した塩を振りつつ重ねていく。最初は溢れるほどのかさでも水が出ると半分程度になるのでぎゅっぎゅっと詰め、最後に呼び水として計った水を注いで内蓋をし、青菜の倍の重さの重石をかけてゴミ袋等で覆い、水が出るのを待つ。
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この後は、水が出てかさが減ったら重石は半分程度に切り替え、2日~1週間ほど漬け込んでから本漬けへ移行。
下漬け=浅漬けなので本漬け前に食べてもフレッシュで美味しいし、下漬け(塩漬け)状態のまま唐辛子等を加えて熟成させてもよい。今回は一部を醤油を使った本漬けへ、一部は塩漬けのまま熟成させるつもりでいる。本漬けの漬け液は、昨年とは少し違った配合にしようと思っているので詳しくはその際に。昨年のレシピはこちら。今年はもう少し醤油を薄くする予定。
昨夕樽に収まりきらなかった青菜は一晩経つとすっかりかさが減り、重石ごと蓋が閉まる程度になった。もうちょっと水が出そうなので、重石はあと1日くらいこのまま様子を見ようかな。
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おみ漬けも、洗って天日干しまでは一緒。
せいさい漬けは厚い茎の部分の歯ごたえが美味しいとされ、捨てられていた薄い葉の部分を活用して作られたのがおみ漬けの由来だ。故に本来ならば「厚い茎⇒せいさい漬け、葉っぱ⇒おみ漬け」と選別を行うところかも知れないが、なにぶん大量にあるし、私はせいさい漬けの葉の部分も好きなので単純に束で分けた。
おみ漬けのつくり方は以下の過去記事と一緒。このレシピで繰り返し、実は割と年中つくっている。せいさいは小松菜や高菜等、似た種類のカラシ菜系青菜で代用可。どれも美味しい。お好みの濃口醤油を使うのがコツです。
干した青菜は細く刻み、一方で一緒に漬ける大根と人参も天日干しをして、それぞれ薄めの塩で下漬けを行う。
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一足先に2%の塩で漬けたせいさい。大根と人参の下漬けが終わるまで袋に入れたまま常温で。乳酸発酵してもそれはそれで美味しいし、おみ漬けはこの後しっかりした醤油漬けにしてしまうので、細かいことは気にせずOK。
おみ漬けはこの大らかさが良いなと思う。適当につくっても冷凍保存すれば1年くらいは美味しく食べられるし、開封しない限り(空気に触れさせない限り)は冷蔵庫でも数か月もつ。
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漬物を漬け始めたのは昨年で、今年はまだ2年めなのに、年中行事が始まった感じでうれしい。梅仕事が始まる時期のようなわくわく感がある。この後直売所で赤かぶや菊芋が出て来るのが楽しみだ。
そして実は来週末、かなり久しぶりに山形へ行く。現地の直売所や道の駅でどんな作物と出会えるのか、こちらも大変楽しみにしている。