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【今週の週末日本酒ごはん】#56 この時期食べたい寒ブリ寿司~ふるさと祭り東京の思い出~、広島菜巻きと秘伝豆ひたし豆、青森の馬鍋と子和え

1月中旬には決まって寒ブリの寿司が食べたくなる。
旬だからというのも勿論あるが、私にとっては十年来の習慣だったから。2023年まで東京ドームでこの時期開催されていた「ふるさと祭り東京」に行き、能登のブースで寒ブリの握りや丼、串焼きを買ってビールと共にいただくのが毎年の恒例行事だったのである。

2013年
串焼き。すごい脂
2014年。大トロみたいな寒ブリ
丼も美味しかった

当時は平日休める仕事だったので、その日を狙って(土日は殺人的混雑)朝からドームへ向かい、まだ空いている会場をひと巡りして最も食べたくなったものを最初に食べようと思いつつ、結局能登の鰤をいつも選んだ。どの年も美味しそう、かつ最も食べたかったから。しかも当時の価格はなんと二貫300円、ビールをつけても千円未満の超破格。この組み合わせが大好きで、毎年いそいそと能登ブースへ通った。各地のブースは毎年概ね同じ位置に設置され、何年かすると足が自然とその方向を目指した。美味しかったなあ。
故に寒ブリの美味しさについてはよくよく知っていたけれど、市場価格や入手困難さについては全くの無知だった。この時期東京ドームに行きさえすれば、美味しいのが食べられると安心し切っていたのだ。そういう意味では消費者を甘やかしまくるイベントでもあり、良い時代であった。

毎年地元の竿灯が見られるのも嬉しかったし、他地方のお祭りも面白かった。熊本の牛深ハイヤとか沖縄のエイサーとか好きだったなあ
ドームいっぱいに全国の美味しいものが。壮観

その寒ブリ寿司を、考えてみればここ5年ほど食べていない。コロナ禍では仕方がないと諦めたが、イベント自体が終了してしまった今、1月に寒ブリを食べなければ私の身体は落ち着かない、ということに今更のように気付いてしまった。しかも年が明けてから。
今年は寒ブリが豊漁だったようだがさすがに出遅れ感は否めない。選択肢は限られたものの、折角なのでふるさと納税で探すと、氷見市の他に福井県美浜町がヒットした。若狭湾の鰤...。興味を抱き申し込んだところ、このような可愛い箱で、調理しやすく部位別に柵どりされた鰤がすぐに届いた。

妙に気になるへしこちゃん(届いたのは鰤ですが)
背中3柵、腹1柵の計4柵入っていました

届いたその日に背中側の柵でごまぶりをつくった。身の味が濃く、美味しい鰤だが氷見鰤と比べて脂はだいぶ控えめ。レモンが合いそうなさっぱりした鰤だ。

私の記憶のぶり寿司は、口に入れるとすぐさま脂がとろけ、口の中でほぐれて来るような鰤。昨年取り寄せた氷見の寒ブリは記憶のままだったが、若狭湾の鰤は氷見と比べて脂控えめなので、より脂の乗った腹側の柵でにぎりと漬けにぎりをつくった。自宅なので贅沢に厚く切り、夫用と自分用とでシャリの量も変え、自家製ガリもたっぷりと添える。

ひと口で入るぎりぎり、かつ厚すぎない厚みにこだわりました。シャリはやや大き過ぎた
ガリを記事化していないことに今更気付いた。今年の新生姜が出たら書きます

いやー美味しかった。
欲張って厚く切ったので、口中が鰤とシャリでいっぱいになったがそれはもう幸せ。家ならではの贅沢である。これですよこれ、とろける美味しさ、口中に広がる脂、ほろりと崩れるシャリ。ああ食べられて良かった、これからは寒ブリ宣言が出る前に忘れずに予約しなくては。
おうち寒ブリ寿司、おすすめです。

◆広島菜巻き(ゆかりごはん・カリカリ梅・削りがつお)

握りに合わせて広島菜巻きも巻いてみた。具は高田梅の梅漬けと削りがつお。しば漬け入りを以前食べたことがあり、カリカリして酸味のある漬物が合う印象だったから。大変美味しかった。
梅とおかか、広島菜とおかかはそれぞれ好相性。ごはんも酢飯でなくゆかりごはんを使ったのが正解だった。ゆかりごはんと広島菜の相性も良い。

◆秘伝豆のひたし豆

元々は春巻きをつくろうと豆を用意したが、鰤に揚げ物は重いかなと予定変更。秘伝豆と言えばのひたし豆にした。
豆を戻して茹でた後、味醂と淡口醤油で淡く味付けしただし汁で軽く煮、冷ましながら味を含ませる。出汁の美味しさで決まる料理なので、あくまで出汁は美味しく、余計な味付けは控える。かつお節の風味がとても合う。

◆里芋・きのこ入り馬肉鍋、真鱈の子和え(いずれも青森風)

真鱈の子「炒り」は先日も書いたが、今回は子「和え」。秋田では「子炒り」、青森では「子和え」と呼ぶ。材料やつくり方はほぼ共通だが、青森はにんじん多め、高野豆腐を入れる家庭が多いようだ。秋田ではにんじんに加えてごぼうや椎茸を使う家が多く、高野豆腐はあまり入らない。その違いくらいかな?もしかしたら秋田の方が味付けが甘いかも。
馬鍋も青森の家庭でよく食べられるそうだが、秋田の実家でもよく食べていた。貧血気味の母の好物だったから。具は白菜、ごぼう、長ねぎ、焼き豆腐、糸こんにゃく辺りが定番で、実家では味噌と醤油を半々に使って味付けした。青森は味噌仕立てだと思う。今回は里芋ときのこを加えたので白菜は控えめに。使った味噌が少々物足りず、めんつゆ少々で味を決めた。各具材の旨味を吸った焼き豆腐がとても美味しい。満足した。

見るからに日本酒仕様のごはん、夫はお燗にしていた。福井のお酒を合わせたかったけれど近所で買えず、秋田の高清水。私は近年日本酒を控えているのでレモンサワーで。
冬には熱燗が吞みたくなりますね。

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