見出し画像

やはり今年の梅は不作だったのか~昨年よりも味が薄く感じる山形の梅・谷沢梅(2024谷沢梅その2・完成編)

ようやく今年最後に漬けた谷沢梅についても記事を書く気力が回復してきた。梅シーズンもとっくに過ぎ去った晩秋にこの記事内容、恐れ入ります。

今年の長く長く続いた暑さで体力が奪われ、更に例年ならばもっと早く来るはずのブタクサ系秋花粉の影響もあってこのところずっと調子が思わしくなかったことに加え、今季終盤に仕込んだ梅干しの出来がどうも今ひとつで、どう書こうか考えあぐねていた。
山形のローカル梅品種、谷沢梅や節田梅、豊後梅(本来青森が有名だがたまたま昨年・今年とも山形から買っている)は昨年も漬けて甚だ出来が良く、どれも好みの味だったので今年も楽しみにしていたのだが、全国的な梅の不作の影響で入手はやはり困難だった。
特に谷沢梅は元々高価で取引されることが多いため、今年は入手を見送ろうと思っていたところ、その時期にたまたま立ち寄った銀座の山形県アンテナショップで青梅発見。喜んでひと袋購入し、まだ青かったのでやや長めに追熟させた。このことによる水分の蒸発が気になったため、梅そのものの味が最もよく出る白干しではなくしそ漬けにしてみた。

――というところまでを過去記事で書いている。

この梅を天日干ししたのは、他品種の梅仕事がほぼ終了した8月14日(火)の早朝。しそ漬けしたのが塩漬けから半月強の7月28日(日)で、色がつくまでそれから2週間ほど待った。

まる2日干して取り込み、同じくカラカラに乾かした赤紫蘇もゆかりに。
この時使った赤紫蘇は、この時期偶然訪れた白河の直売所であまりの香りと見た目の良さからつい衝動買いしたもの。やはり香りが抜群に良い。谷沢梅の酸っぱい梅酢が染み出しているので味も尚のことよく、今年のお気に入りゆかりのひとつだ。

今年の谷沢梅は塩分14%のしそ漬け梅干しのみを仕込み、生梅⇒梅干しの完成重量は55%とやや低め。
塩漬け中のトラブルは特になかったが、やはり輸送及び追熟期間(=収穫してから塩漬けにするまで)が長すぎた感がある。食べるとどうも物足りない、水っぽいような味がするのだ。昨年の谷沢梅が小粒でもパンチがきいて美味しかっただけに、あれ?という感じ。

この状況は2ヶ月半経った今でもあまり変わっていない。熟成で味に深みが出ないのだ。これは同じく今年山形から買った節田梅、豊後梅(生産者・産地とも別々)にも言えることで、更に言うと、ふるさと納税で先日届いた和梨にも言えることだった。
いずれも例年の同作物よりおしなべて味が薄い。見た目が良くても、食べてみると味が薄いのだ。昨年の出来の良さ、抜群の味の良さを知っているだけに、今年の分が物足りなく感じる。
この「味の薄さ」「物足りなさ」を梅仕事の何に関連付け、結論とすべきかに長く考えあぐね、完成編を書けずにいたのだが、この辺りに山形の昨年・今年の夏季の長雨をはじめとした天候不良の影響が出ているのではないかと考えるにつけ、ようやく腑落ちした。出来上がった今年の梅干し数品種と先月届いた梨を食べて「ひょっとしたら」と思った。たぶんそういうことなのだろう。
勿論今年の山形の果物すべてという訳ではない。6月に届いたさくらんぼは例年よりも大粒で、甘みや味の濃さも昨年以上ではないかと思うほどの出来。そういう種類や産地、生産者の方々の努力や工夫の影響もあるだろう。ただ、私が購入した分の今年の山形の梅に関しては、昨年よりも味が薄く、梅らしい味や膨らむ旨味の成分も少なめだった。

こうした今年の梅仕事と結果を通して、不作というのは単に収穫可能な量が少ないだけでなく、見た目が良くても中の味が薄かったり腐りやすかったりと、あらゆる要素に影響が出るのだと随分久々に思い出した。
私は秋田のかなりの田舎で育っているので、農産物の出来不出来は実家が農家でなくとも幼い頃から見知っていたはずが、長い都会暮らしですっかり忘れていた。自然の産物というのはこういうものだ。それでも採れたことと、大切に育ててくださった生産者の方々に感謝して、また来年の梅を楽しみに待とうと思う。

いいなと思ったら応援しよう!