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かりんとう各種はもちろん、フレッシュでジューシーな粒あんが印象的な本宮市「ぬか茂」のまゆみちゃんどら焼き、クリームチーズ風味のバタどら

早いもので、福島県本宮市を訪れてから既にひと月以上が経過してしまった。美味しい出会いが多く、どの店舗から書こうか考えあぐねていたが、まずは本宮行のきっかけとなった「ぬか茂」さんから書くことにする。

「ぬか茂」さんを知ったのは、今夏たまたま知人から期間限定「瀬戸内はちみつレモンかりんとう」をいただいたから。食べる前は「かりんとうにはちみつレモン?安易な流行り狙いでは??」と若干懐疑的だった私は、最初のひと口で刮目した。レモンの爽やかさ、口の中がギューッとするようなあの酸っぱさが見事に、それもごく自然な風味で封じ込められ、驚くほど美味しかったのだ。これについては過去記事に書いたので、宜しければ。

それで「ぬか茂」さんの実店舗について調べ、福島へ行く機会に立ち寄ったという訳である。同店のある本宮市は郡山市の北側に隣接している。我が家はBリーグ観戦等で年に1~2度郡山へ行くため機会を設けやすかった。

「ぬか茂」さんはJR本宮駅から徒歩10分弱、車でも公共交通機関でも行きやすい立地だ。正面に大きく家紋の入った立派な店構えが目を引く。一見すると隣は別の洋菓子店にも見えそうだが、こちらも同店舗。店舗の左側は和菓子、右側は洋菓子部門で、それぞれに合わせた外装になっているのだ。店内に仕切りはなく、レジも共通。広々として品物が選びやすい。

店内を二、三周して熟考の末、選んだのはこちらの品々。本宮に来ないと買えない品という観点で選んだ。先般のようなかりんとう(常時6~7種ある)は都内のアンテナショップでも買えるので、最も気になった「珈琲」を今回は選び、それ以外は生菓子を選択。それと気になった「あごだしおかき塩マヨネーズ」もつい買ってしまった。好きなんですよね米菓…。

さて、今回特筆したいのはどら焼き2種である。しっとりもっちりした皮も美味しかったが、あんこがさらに印象的だったのだ。
まずは本宮市のマスコット「まゆみちゃん」の焼印が押されたスタンダードな「まゆみちゃんどら焼き(本体価格160円)」。土曜日の朝10時過ぎに入店して既に残りは1個。人気商品である。他店でもどら焼きは午後行くと売り切れていることも珍しくないので、買えてよかった。ちなみに「まゆみちゃん」の刻印がない「どら焼き(同価格)」もあり、こちらは十分残数があった。

なお、しつこく書くけれど「まゆみちゃん」は既婚者。それも県を超えた埼玉県上尾市のマスコット「アッピー」と結婚し、子供もいる。自治体マスコットとしてはかなり特殊と言おうか、なかなか攻めた設定である。

そんな「まゆみちゃんどら焼き」は幾分小ぶりな食べやすい大きさで、皮には本宮烏骨鶏酵母卵と本宮市特産白沢とろろ芋使用。しっとり&適度なもっちり加減の美味しい皮である。

この皮に包まれた粒あんが、今回最も印象的だった。

茹でた小豆や煮あずきを食べた時のような、つぶし切らない豆の中に水分を残したフレッシュでジューシーなあんこ。これが軽やかな食べ心地を生み、至ってスタンダードなどら焼きではありつつも、他とは少し違った印象を残す。はちみつ、醤油、味醂等も入り過ぎず、味にくせやしつこさがない。すべての加減がちょうどよい、私の好きなタイプの美味しいどら焼きだ。

そして、同じ皮とあんこが使われている「バタどら(本体価格180円)」。これは予想、と言うより想定外だった。

まず、原材料にバターがない。「植物油脂」はあるが、どの植物かは謎。

ならば断面のこの白い層が何かと言うと、クリームチーズ系のスプレッド。おそらくクリームチーズにホエイパウダー等他の材料を混ぜてあり、なめらかでふわっとした食感だが明らかにバターではない。チーズの味である。いっそ「クリームチーズどら焼き」として販売しても良さそうなものだが、それだと売れないのだろうか。私は買うけど。

このたっぷりのクリームチーズスプレッドがなかなかな存在感を醸し出し、まゆみちゃんどら焼きとは違った食べ心地を残す個性的な一品。これも好き。「バタどら」という名前から期待する味とは少々違うが間違いなく美味しい。
ただ、このスプレッドにもやはり先ほどのジューシーなあんこが負けないのだ。この軽やかさ故のクリームチーズとの好相性。トータルでよくできている。これも是非また買いたい一品。

「本宮まんじゅう(本体価格130円)」は懐かしい感じのこしあん入り味噌まん、

店名を冠した「ぬか茂(本体価格170円)」は、その名から古典的な和菓子かと思いきや、砕いたナッツが散りばめられた黒糖生地にこしあんが入った、和モダン焼き菓子的なひねりのある一品だった。

こうして一通り味わってみると、「ぬか茂」さんは創業明治12年という老舗ながら、昔ながらの製法や配合にこだわり過ぎず、柔軟な感性でお菓子作りをして来たことがわかる。歴代の店主が「美味しい」と思ったものを作り続け、また新たに開発して今に至るのだろう。
そしてその味づくりの塩梅が、私の好みといたく合っているようで、どれを食べても美味しい。あごだしおかきも美味しかった。味の加減もちょうど良いし、かりんとうやおかきは形状や大きさ・太さで味の印象が大きく変わってくるので、その辺りが細かく調整されているのも心にくい。

おせんべいやおかき、ついつい食べちゃうんですよね・・・

そんな訳で、本宮市へ行かれる機会があったら是非「ぬか茂」をおすすめしたい。オンラインショップもあるし、都内(最寄り駅は神田)の福島県アンテナショップ「日本橋ふくしま館」でもかりんとう各種が購入可。私はつい数日前にも酒粕かりんとうを買ったばかりだ。

一ヶ月経っても味の印象は全く薄れていなかった。たまたま出会ったお菓子や店舗がお気に入りになるのは嬉しいものだ。
本宮では書きたいお店があと2軒あるので、またそのうちに。

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