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「専門職としての調理師と栄養士」

調理師が料理を作れるのは当たり前なのですが、では栄養士はどうなのかと聞かれたら、実は料理が苦手な人も結構いらっしゃいます。

実際にそういうふうに公言している栄養士を私は何人も知っています。

それもバリバリの現役の栄養士の話しです。

勿論、調理師顔負けの料理上手な栄養士がいることも事実ですが、同じ「料理が出来る」のでも調理師の「出来る」と栄養士の「出来る」は少し意味合いが変わってきます。

調理師の作る料理は基本的に「プロの料理」ですから、非日常を演出する料理が出来るかどうかが評価になります。

一方、栄養士の場合は働く場所が病院や学校や施設になりますから、提供する料理は基本的に日常食です。

日常食の中に、いかに栄養士としての専門性を出せるかが勝負になってきます。

例えば、人参と大根と鶏肉を煮るとします。

その場合、普通は一つの鍋で三つの具材を一緒に煮て作ると思います。

勿論それで良いのですが、調理師の発想ではそこにひと手間加えて何かしらの演出を施したくなります。

そういうふうに考えると、鶏肉は先にしっかりと焼き色を付けて焼いておいて香ばしさを出した上で、煮汁にさっとくぐらせて仕上げるといった事を考えます。

これが調理師の発想です。

一方栄養士の発想は、煮汁に溶け出した栄養素を無駄にしたくないので、煮汁毎食べられる工夫をしようという方向に考えが向かいます。

こんな風に元々の発想が異なるのが調理師と栄養士なのですが、そうした違いを自覚して仕事している人がとても少ないのが現実です。

特に調理師の方にその自覚が無い人が多くて、栄養士の立てた献立にブツブツ文句を言いながら仕事をしている現場を何度も目にしました。

だからと言って喧嘩になるわけでは勿論ないのですが、こうしたシーンを見る度に専門職としての調理師と栄養士がしっかりとお互いの良さを伝える事の大切さを思います。

食事というのは全ての人にとって欠かせない営みであると同時に楽しみでもありますので、その分野のプロである専門職は、高い理想と意識を持って日々の仕事に精進するべきだと思います。

そうした自覚があれば、栄養士であるのに料理が苦手などとは言っていられなくなると思いますし、調理師も献立表に文句を言う前に出来る事が沢山あると思うのですがどうでしょうか。

なんだかちょっと上から目線の記事になってしまいましたが、自戒の意味も込めて書かせていただきました。

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中嶋洋二郎
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