カラオケのすすめ
歳を取って食べ物を飲み込む機能がうまく働かなくなると嚥下障害と診断されて、言語聴覚士さんなどから嚥下体操の指導を受けることがあります。
嚥下体操は喉の筋肉を鍛えるのが目的なのですが、これには歌を歌うことがとても役に立つと先日読んだ介護関連の本に書いてありました。
歌を歌うと喉の筋肉も使いますし腹筋も使います。腹筋が衰えると鼻で呼吸することが出来にくくなり口で呼吸する様になるらしく、そのせいで誤嚥も起こしやすくなるとも書いてありました。
この理屈でいくと、カラオケ好きの方は喉の筋肉も腹筋も鍛えられ、嚥下障害を起こしにくいという事になります。
それでふと思ったのですが、昔ながらの日本の伝統芸能というのは嚥下能力を維持するのに理想的な気がしませんか。
例えば詩吟であれ浪曲であれ、腹の底にグッとチカラを入れて発声するイメージがありますし、ちょっと軽めの都々逸なんかでもやはり腹式呼吸でないと上手く謡えないのではないでしょうか。
その上、発声の仕方が西洋的な素直な声の出し方と違って一度喉の奥の方でぐっと溜めてから絞り出すイメージです。
つまり喉の筋肉もかなり使う事になると思うので、普通に鼻歌を歌うことを思えばずっと腹筋や喉の筋肉が鍛えられるのではないでしょうか。
介護施設でカラオケ大会を開いたりすることは頻繁に行われますが、詩吟や浪曲なんかもリハビリ目的で採り入れたらいいのにと思ってしまいました。お年寄りなら若い世代よりは詩吟などにも身近に親しんで来たでしょうし。
そう言えば私の母は趣味で詩吟を習っていましたが、死ぬまで嚥下に関しては何も問題ありませんでした。もしかしたら詩吟が効いていたのかもしれませんね。
私がお年寄りの施設で調理をさせていただいていつも思っていた事は、刻み食やトロミ食になった方が、また以前の様に普通食に戻れればいいのになという事です。
刻み食は歯が抜けてしまえばある程度仕方ない部分はありますが、トロミ食に関しては詩吟を吟じていたらいつの間にか必要なくなったなんて事が起きないでしょうかね。
勿論カラオケでもいいのですが、こうした事を楽しむ事で免疫も上がりますし脳に刺激も与えます。結果的に体の状態を良くするという事を考えた時に、やはり人生は楽しむ様に出来ていると思います。
若いときの苦労は買ってでもしろという諺がありますが、歳を取ってからの楽しみは買ってでもするべきだと思った次第です。
(元記事は食べごろclub)
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