見出し画像

閑話休題「在宅介護の思い出あれこれ-その1」

私が実際に介護生活を送っていたのはほんの二年弱なのですが、その短い期間でも色々と思い出があります。

私の場合は父親をマンツーマンで介護したのですが、私が実家に戻って在宅で仕事もしながら介護するという形でした。

実家に戻った当初、父親はまだ介護認定も受けておらず私もまだ40代と若かったため何の覚悟も知識もなくフワッと父との2人暮らしを始めてしまいました。

一応介護の為に戻ったわけですから、父親に健康不安があったのは事実なのですが、まだ何とか普通に歩けていましたし、車も運転していました。

ちなみに私の実家はド田舎ですので「車を運転出来なくなる」と「1人で生活出来なくなる」はイコールです。

私も実家でネットを使いながらフルタイムで仕事をしていましたので、父が車に乗って町まで出かけることはありがたい面があり、特に運転するなとは言いませんでした。

ただ、そろそろ潮時が近づいたかなとは感じていました。

そんなある日のこと。

いつもの様に父が町まで出かけて帰ってきたのが、窓越しに視界の隅に入りました。

普段なら視界の隅に入ったらすぐにバックして車庫に入れるのでその段階で視界から消えます。

所がその日はいつまでも視界の隅にシルバー色の車体が入ったまま消えません。

何となく気になりながらも視線は目の前のパソコンの画面だったのですが、突然家の壁が「ミシミシ」と音を立て始めました。

驚いて車の方を見ると、父が車の中でパニックになっているのですが、何と車のバンパーが家の壁に触れた状態でジワリジワリと家の壁を押している状態でした。

慌てて外に飛び出した私は運転席のドアを開け、ギアをニュートラルに入れたのですが、父はただオロオロするばかりでした。

一呼吸置いて私が父を車から降ろそうとしたら、父は呆然とした表情のまま「何かわけが分からんようになった」と言い後は黙ってしまいました。

この出来事があってから、父はキッパリと車の運転をやめたのですが、そこはとてもいさぎよかったと今でも思います。

他にもまだまだ思い出はあるのですが、それを書くと随分長くなってしまいますので今回はこの辺で。

人間の介護をするのにペット用の吸水シートを買ってきた話しなど書きたいことがいくつかありますので、また後日続きを書いてみたいと思います。

*アゼリアカルチャーカレッジ
健康長寿食を作ろう」講座はこちら


いいなと思ったら応援しよう!

中嶋洋二郎
終わりの見えない介護生活を少しでも楽しく!美味しいものがあればそれで幸せ。そんな活動をしていきます。サポート大歓迎です。