映画・グリーンブック

ずっと気になっていたけれど観ていなかった評判の映画。やっと観ました。
80年前の米国南部に強く残っていた黒人差別と、全く境遇の違う男2人に生まれる友情を描いた、実話を元にした話。

主人公のトニー・リップは、短気が原因で色んな仕事を転々としているイタリア系アメリカ人。
直前のクラブの用心棒の仕事が、店の改装で無くなってしまい、仕事を探している最中。

もう一人の主人公ドン・シャーリーは、幼い頃からクラシック音楽を習い、絶大な名声を得ている黒人のピアニスト。

彼が未だに黒人差別が残る南部のツアーに挑戦する為に、運転手兼用心棒を探すことで2人が出会います。

教養に乏しく喧嘩っ早い白人と、インテリで物静かな黒人のコンビが、ツアーの中で様々なトラブルに遭いながら、友情を深めていきます。

南に進むにつれ差別は酷くなっていく。
ゲストとして招待しておきながら屋内のトイレを使わせない、レストランでの着席拒否、警察の対応差別、、、。

境遇も考え方も違う二人は、意見が食い違い、ぶつかることもしばしば。
ドンはその境遇から隠している悩みを抱えており、中々感情を表に出さない。
向こう見ずな性格のトニーの浅はかさに不満を募らせていくが、法律では解決できない問題を次々と切り抜けるトニーの手腕に信頼を寄せ始める。

トニーの方も、いちいち自分のやり方に文句をつけるドンの事はいけ好かないが、彼のピアノの実力を知り、酷い差別を受けても耐え続ける彼の心情を慮るようになっていく、、、。

差別を受ける側の黒人が金持ちで、白人が雇われる側という構図が目新しいですが、それだけではない本作品。

当然、ピアノ演奏は見ごたえがあります。
それだけでなく、イタリア系アメリカ人の性質、性的嗜好の問題、当時活躍した黒人成功者の複雑な心境。
情報としては知っていても、この映画が捉えている機微の部分は新鮮でした。

一番印象に残ったのは、トニーの粗野で真っ直ぐで、不器用だけど身内には優しい所。
イタリア系アメリカ人というと、徒党を組んで悪さをしているイメージがあります。
彼を知ることで、彼らの文化が良くも悪くもアメリカ社会でどういう化学反応を起こしているかが垣間見れます。
彼の妻への手紙、ドンへの声掛け、仲間との関係。温かいんですよねぇ〜!

世間に評価されていても孤独なドン。
最後のシーンは、彼の境遇を理解していなければ感動を呼ばない、言ってみれば地味な演出です。

こんな簡単な事が、彼にとってはどうしても出来ない事だったんだと、そこから滲み出てくる彼が抱えていた苦悩と、かけがえのないものを得られたのだという喜び。
良かった〜!

アマゾンプライムで観たので、作品のエンドロール途中で次の作品が始まってしまい、慌ててエンドロールに戻しました。(笑)

エンドロール最後まで浸れる作品でした。
お勧めです。


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