わたしを旅館に連れ込んだ幼なじみの少女
わたしの母親の実家には、祖母が一人で暮らしていた。幼いころは、毎年夏になると泊りがけで出かけていたが、高校生ともなると友だち同士で出かけることが多くなり、次第に足が遠退いていた。
祖母の家は山の中にあった。いまは廃線となってしまった単線の鉄道が切り立った崖と大きな河の間を通り、ゆっくりと古びた電車が走っていた。
高校3年の夏、わたしは避暑と受験勉強を兼ねて、久しぶりに田舎を訪ねた。祖母は快く迎え入れてくれ、わたしはクーラーがなくても涼しい部屋の中で参考書片手に問題集