淫乱な女二人のオモチャにされて

 東京へ出張したときの出来事。仕事も終え、ホテルに戻る前に一杯引っかけていこうと、新橋の焼き鳥屋のノレンをくぐった。

狭い店の中はごった返していたが、わたしが座ったカウンターのとなりには、女性客二人が豪快に生ジョッキをあおっていた。

一人は30代半ばほどの背の高い、細身で色気のある風貌で、もう一人は20歳そこそこふうの小柄でぽっちゃりとしたタイプ。

わたしはそれとなく二人の様子をながめつつ、焼き鳥を頬張り、ビールでのどを潤していた。

 2、30分もたったころ、何げなく視線を感じてわたしはとなりを見た。すると、その二人連れがちらちらとわたしに目配せをしている。

わたしが彼女たちを見ると、二人は笑みを浮かべながら相談をはじめる。そして、歳若く見える女性のほうが話しかけてきたのだった。

「あの、お一人ですか?」

「ええ、まあ」

「お仕事の帰りですか?」

「ええ、出張でこっちへきてるんですけど」

 わたしの話すイントネーションで、関西出身ということがわかったのだろう。今度は年長のほうが、身を乗り出して話しかけてきた。

「大阪の人? わたし、関西弁って好きなの」

 それから3人は意気投合し、飲みなおすことになった。

連れて行かれたのは場末のバー。

キャッチか何かかといぶかしく思ったが、幸いにもその心配はなかった。

「わたしたち、どんな関係に見えます」

 康代と名乗った背の高い女がたずねてくる。

「え? そうやなぁ、友だちっていうふうにも見えへんし」

 すでに酔いが回ったわたしは、自分の出身地の言葉で話す。

「姉妹?」

「似てますか?」

 優という名の小柄な女は、相変わらず敬語だ。

「似てるといえば、似てるような、そうでないといわれれば、そうでないような」

「わたしたち、恋人同士なの」

 康代の言葉に、わたしは面食らってしまう。

「と、いうことは……」

「そう、わたしがタチで、この子がネコ」

 二人はレズビアンであった。

 そのことを知ったとき、わたしの期待は霧散した。

出張の夜に女から声をかけられる。しかも、タイプは違えども、そこそこの美人である。そのうえ遅くまで杯を重ねる。

あわよくば二人同時に、という思いは、このシチュエーションなら、だれでもいだくはずだ。

しかし、男に興味がない二人であるならば、わたしはただの関西弁をしゃべる遠来の人間でしかない。

「ま、それもいいか」

 エッチな関係にならなくても、一夜を楽しく過ごせるのに変わりはない。これがスナックやキャバクラなら、かなりの金額になるはずだ。

思いなおしたわたしは、気分を入れ替えて水割りをお代わりした。

 時間が過ぎ、夜もふけた。わたしは、あした大阪に帰らないといけない旨を告げ、ホテルに戻ろうとした。

「もう、帰るんですか」

 優はいう。

「もう少しいいじゃない」

 康代がいう。

「あしたも仕事だし」

 わたしは答える。

「でも、わたしたち、帰る方法がないの」

 終電の時刻は過ぎている。タクシーで帰る、もしくはホテルに泊まるほど、ふところに余裕はないらしい。

「飲み明かさないんだったら、アナタのお部屋に泊めてくれない?」

「え……、そやけど、部屋はシングルやで」

「十分よ。3人で重なれば」

 康代が妖しい視線を送ってきた。

恥ずかしげにはにかみながら、優も熱い目線をわたしに向ける。

「3人で……」

 クククとかみ殺した笑いをこぼす康代と優。

わたしは奇妙な感慨をおぼえつつ、彼女たちを部屋に招き入れることにしたのだった。

 

 ホテルに戻って、わたしたちは交代でシャワーを浴びた。パジャマは一人分しか用意されていない。

わたしは下着姿、康代はパジャマを身につけ、優はバスタオルを巻いただけの姿になった。

パジャマ姿の康代は襟元から乳房の谷間をはっきりと見せつけ、優はぷっくりと肉付きのいい体全体を露呈させている。もちろん、胸の谷間も膨らみも、はちきれんばかりの太もももむき出しになっている。

わたしたちはベッドに上ってビールを飲んでいた。しかし、二人を目の前にしてわたしの気分は高揚する。

「やっぱり、ちょっと恥ずかしい」

 優はいった。

「でも、これから3人で寝るのよ」

 康代はいう。

「大丈夫かな」

 と、優。

「大丈夫よ」

 康代は返答する。

 何が大丈夫かわたしには分からないが、すでにわたしの股間は大丈夫な状態ではなかった。

「ねえねえ、あなたってまじめなのね」

 グラスを空にして康代はいった。

「え?」

「こんなにきれいな女とかわいい女を目の前にして、手を出さないなんて」

「でも、きみたちは」

「そう、レズビアンよ。でも、殿方もきらいじゃなくてよ」

 康代はいきなりわたしにしなだれかかり、股間に手を伸ばしてきた。

「ほら、もう、こんなになってる」

 下着の中に手を入れ、直接わたしを握り締める康代。

「わたしたちはね、新しい刺激を求めてるの。互いに舐めあいながらペニスを挿れてもらうのって、どんな感じかなぁって」

「そ、それは……」

「おきらい? 3人でするの」

「い、いや」

「じゃあ……」

 康代はわたしを押し倒し、下着を脱がす。そして、そのまま屹立した一物を口にふくんだのだった。

 

ねっとりとやわらかくて温かい感触。舌が蠢いて絡みついてくる。

わたしをしゃぶりながら、康代は全裸になった。

モデルのように引き締まった身体で乳房も大きい。

優はわたしを抱きかかえ、乳房をふくませた。

「あん……」

 康代の技を受け止めながら、優の豊満な乳房と勃起した乳首を味わう。

「優ちゃん、舐めてもらいなさい」

「はい」

 優はわたしの顔面にまたがる。

あお向けになったわたしは、優の陰部を舐りながら康代が股間にまたがる様子を知る。

「あ、く……」

 康代は天を向くわたしを自ら導いた。

ヌルヌルした締まりと粘膜でこすり上げられる抽送感。

「あ、いい、気持ちいい!」

「やああん、そこ、だめぇ、あああん!」

 二人はわたしにまたがって、互いに唇を重ね、乳房を揉み合っている。

わたしは康代の動きに堪えることができなくなり、そのまま中に吐き出したのだった。

 

 その後、二人は交互にわたしを攻め立てた。

一人に挿入すると、もう一人が指や口での愛撫を求める。

わたしが達すると、今度は別の一人が挿入をせがむ。

わたしは体力の限界を覚え、勃起もままならなくなる。

すると、狭い部屋の中で二人の女が絡まりあう姿を目の当たりにすることとなる。

現金なもので、そうなるとわたしはよみがえりを見せ、それを知ったどちらかが口にふくんで強固にする。

 いったい、何度達したことだろう。二人の女にオモチャにされながら、意識が薄らぐ。

やがて、夜が明け、始発の時間になると、二人はわたしを残してホテルを出て行ったのだった。

 ふらふらになりながら新幹線に乗って大阪に戻った。しかし、その日は一日、仕事にならなかった。

それでも時間が経つうちに、リアルな感覚が残る康代と優との行為を思い出し、身体が熱くなる。

 その後も東京出張の話があると、わたしは進んで引き受けた。そして新橋の焼き鳥屋に通うが、いまだに康代と優に出会うことはない。

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