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“言葉”のナイフ
言葉は人類が発明したモノの中で最も優れた利器と言える。
ホモサピエンスが約20万年前に誕生し、言語は約15万年前に起源を持つと言われている。
*言語学的証拠は文字が始まった約6千年前とされている。
人間の進化(文明の発達)と共に言葉も進化し続けている。
広辞苑にも毎年新語が更新されている。
人間は言葉を用い他者にアプローチし自己をPRすることで己への信頼を他者に植え付け人間関係を形成してきた。
言葉は非常に便利なツールではあるが、注意するべき点も多くある。
特に日本語でのコミュニケーションは非常に難易度が高い。
日本人特有の“空気を読む”協調性重視の気質が日本語を複雑化した。
枕詞や二重否定で真意をコーティングし、もはや何が言いたいのか分からない事もしばしば見受けられる
また、一つの単語が複数の意味を持ち使い方を間違えると相手を褒めたつもりが侮辱する何てことにもなる厄介な言語である。
とは言え日本語特有の美しい言葉や表現も多数あり、日本語に対してのリスペクトは有しているので悪しからず。
時に言葉は見えない“ナイフ”となる。
言葉の刃が刺さると人の心は当然傷つく。
更に、心奥深くまで刺さると抜けずにトラウマとして記憶に残り続ける。
誰しもが何かしら過去のナイフが刺さったまま生きているものだ。
ナイフが生まれる原因も様々で、負の感情が生む場合もあれば意図しない放言・失言に起因する場合もある。
複雑な人間社会において完全にナイフを無くすのは難しいのかもしれないが、少なくとも自分の痛みはみな覚えているはずで、同じ痛みを他者に与えないような“思いやり”の心を大事にしていく社会になる事を願いたい。
世界中が24時間オンラインで繋がっている現代では音声ではなく文字での言葉の伝達が主流となっている。
更にSNSの登場はオンラインコミュニケーションに大きな変化をもたらした。
それまで芸能人や著名人に限定されていた不特定多数への発信が今は誰でも表現や主張を発信できるようになっている。
その一方で、発信に対するコメント欄や掲示板では誹謗中傷が毎日のように並んでいる。
その多くが【嫉妬心】【不必要な正義感】【集団心理】【ストレス発散】などを理由に実害のない人間が言葉で攻撃しているのだ。
近年ようやくサイバー警察によるオンライン巡回が進み、匿名性の高い掲示板でも事件化されるケースも増えてはいるものの、言葉そのものの複雑さが原因で誹謗中傷にあたる文言の自動スクリーニングは現時点ではハードルが高く、ネット上での言葉のナイフによる犠牲者は今も後を絶たない。
言葉とは本来人間同士が共存共栄を図って感情や意思を示すために生まれたものである。
AIが自らの知能で言葉を発信する事が可能になってきている今だからこそ、人間が言葉を生んだ本質的な理由を改めて考えて、自らが放つ言葉が人を傷つけるナイフではなく人の幸せを願う贈り物になるよう言葉を活用していきたい。
(了)