【読書感想6】かわりばんこの おあいこ(衿さやか)
自分はエブリスタというサイトで短編小説を書いているのですが、最近は読書するとき書き手目線でよんでいます。
なので本が汚れることをかまわず、付箋をはったり鉛筆で線を引いたりする。
なかでも文学が好きなので、志賀直哉や梶井基次郎のような美しい文章に憧れがあり、そのような文を見つけたときは「ぐぬぬっ」とうめきながら線を引く。
そんななか衿さやかさんの『かわりばんこの おあいこ』を読了。
2023年6月号文學界に掲載されていた『泡のような きみはともだち』を読んでから、その巧みな文章のファンではあった。
しかしまあ、下の写真をご覧ください。この短い文章のなかにどんだけ線をひくのかオレ。
この美しい情景よ! ゲーテなら「時よ止まれ、お前は美しい」と叫ぶだろう。
『十二月の夕方の、さみしくて他人めいた光』なんて、人類のどこの脳内シナプスから電気が走って生まれるのか。
先日Ⅹで『衿さやかの脳内を覗きたい。なんでこんな文章を書けるんだ』というポストを見つけたが、激しく同意である。よっぽど『FF外から失礼します。それな!』と返信しようと思った。
さすがに失礼過ぎるので控えましたけど。
さて、物語は時短を利用して働く女性とそのカバーをする女性(主人公)との葛藤などが描かれる。交互にナナイちゃんという親友との高校時代の温かい思い出が描かれるので、主人公の社会人としての辛さが際立っていく。
しかし終わりに主人公は『おあいこ』の思想をもって歩む。その姿に私は心を動かされた。
自身がしんどい時に読みかえすと思う。
また、いいお話を読ませていただいた。ありがとうございます・・
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