【読書感想7】うるはし みにくし あなたの ともだち(澤村伊智)
映画化した『来る』の原作者、澤村伊智さんのホラー小説である。
四ツ角高校三年二組で一番美しく人気もあった羽村更紗が突如自殺した。
遺書もなくいじめもなかったが、告別式で家族はかたくなに娘の顔を見せようとしなかった。
彼女の死をきっかけに、次々と女生徒が見えない力によって容姿を傷付けられていく。クラスの誰かが“あの力”を行使している──生徒達は疑心暗鬼に陥った。
担任の小谷舞香は、この異変の真相を探るうちに地域に伝わる人の見た目を変えるおまじない「ユアフレンド」の存在を知り犯人を捜し出そうとする。戦慄の学園ホラーミステリー!(裏表紙のあらすじから)
390ページの文庫本だったが、100ページで登場人物が出そろい呪いがはっきりしてからは、あっという間に読んでしまった。
もちろん誰が呪われるのかスリリングで、実際に醜くなる描写にはぞっとする。ホラー小説として秀逸である。
だが今作は、クラスの女子のだれが犯人なのか? というミステリーが中心だった。
ネタバレになるので詳細は書けないが、美のカースト制度で下のものが妬みから犯行におよんだのか。それとも逆に上位者が犯人なのか。
呪いの発生条件も考えてストーリーが進んでいく。ページをたぐる手が止まらない。
犯人に至るまでは二転三転してエキサイティングでした。
しかもただのホラーミステリーで終わらず、読了後に思いを巡らせることになる。学校や、社会での美醜にまつわる階級制ってたしかにあるよな・・そういうものにとらわれてしまう現代社会ってなんだろう、など。
そういったあたりが、澤村作品に深みがあって、人気がある理由なんだろうなと思わされた。
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