マインドフルネスとメンタルヘルスケア
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1_はじめに
マインドフルネスが世界中で受け入れられ、医療分野のみならず、業績向上のために企業がマインドフルネスを導入しています。このコラムでは、誰もがすぐにはじめられる上、人生を変えるほどの効果が期待されるマインドフルネスについて解説いたします。
2_マインドフルネスのはじまり
マインドフルネスの第一人者であるジョン・カバット・ジン(Jon Kabat-Zinn=マサチューセッツ大学名誉教授)は、マインドフルネス瞑想が脳や身体に良い刺激を与え、痛みとの共存に大きく寄与することを発見しました。医療分野に早期に取り入れ、のちにマインドフルネスストレス低減法も開発されました。
その後の多くの研究でマインドフルネスのさまざまな効果が明らかになり、医療分野のみならずビジネス分野にも、さらに個人の健康管理にまで裾野を広げています。
3_マインドフルネスとは
マインドフルネスとは「今、ここにある感情」をありのまま受け止めることです。自分の身体と心の内側を感じて、雑念もネガティブな思考も痛みも含めて、今ここに存在する出来事を感じることで、判断や解釈をせずに心をそのまま観察します。瞑想により身体と心の隅々まで意識を集中させることで、さまざまな効果が得られるといわれていますが、その効果にはどのようなものがあるかエビデンスとともに確認してみましょう。
・疲れにくい脳を実現する
私たちの脳は、休憩しているつもりでも働き続けています。いつもエネルギーを消費しているので、マインドフルネスを行い意図的にそのエネルギーを整えることができます。
・記憶力アップ・気づき力アップ
脳の記憶をつかさどる「海馬」が活性化し、記憶・認知の働きがアップします。また「島皮質」という部分が活性化し、疲れを察知しやすくなり無理をしていることに気づくことができます。海馬や島皮質などを活性化し、自分の状態を知る能力を高めることで、自分を大切にできるようになります。
・感情に振り回されなくなる
不安を感じる時に活性化する「扁桃体」の活動をマインドフルネスにより整えることができます。情動を抑え、ストレス自体の軽減に役立つでしょう。
代表的な効果は上記のようなものが挙げられます。このような効果が得られるので、ストレスに強いメンタルを保つことができるようになるのです。その他にも以下のような効果が期待されます。
マインドフルネスは、続けることが大切なポイント。仕組みを知ることで積極的にマインドフルネスを継続できるようになります。
4_マインドフルネスの方法
マインドフルネスは、自分を大切に感じる気持ちを肯定できることならどのような種類でも大丈夫です。自分の生活スタイルにあったものを選ぶと良いでしょう。複数を組み合わせることも自由です。
・瞑想ウォーキング
足のどの部分が、地面に当たって離れていくのかを感じ取れるように集中します。通勤途中に意識して取り入れると良いでしょう。
・呼吸
鼻と口と肺、体内に空気が入ってきては吐き出されるという出来事を繰り返し感じます。どの部分に空気が通っているか、空気の温かさと冷たさを感じ取ることに集中しましょう。
・感覚器による瞑想
味覚や聴覚、視覚など感覚器を通じた瞑想は、日常では気づかないことを感じられる新鮮な体験です。
味の瞑想では、どのような味がするのか、甘み・苦み・食感などを深く感じ取れるよう集中します。聴く瞑想では、街の音にゆっくり耳を傾けます。見る瞑想では、雲や自然をそのまま感じます。スーパーで購入した果物や野菜をじっくり観察するのも良いでしょう。
このように、瞑想にも色々な方法がありますが、そこに存在する出来事をありのまま五感で感じとること、そしてそこに慈悲を抱くことが瞑想の基本的な流れです。
雑念は常に頭に浮かんでくるものですが、今起きていることをじっと、静かに観察します。その間にも、ふと雑念が浮かんできたら意識をして、今ここに心を戻します。これを繰り返すのがポイントです。
自分の感情を観察する(メタ認知)ことで、不安やイライラしたときでも、自分自身の在り方を安定させて心の中にある不安やイライラのパーセンテージを低減させることができます。
5_マインドフルネスとメンタルヘルスケア
マインドフルネスには様々な種類がありますが、共通することは「ゆったりとした呼吸」です。呼吸法にも腹式呼吸や片鼻呼吸などがありますが、ここでは空気を循環させることで得られる自律神経への効果を解説します。
自律神経は身体機能への影響が大きく、QOL(生活の質)を左右する大切な働きを担っています。生活に活かせるよう、メンタルヘルスケアのカギとなる自律神経の仕組みを理解しておきましょう。
自律神経は、交感神経と副交感神経から構成されています。基本的には、朝日が昇るとともに交感神経が活発になり、月が昇ると副交感神経が活発になります。臓器によってその働き方も異なりますが、ここでは呼吸に関連した働きを紹介します。
交感神経が優位なときには、呼吸が浅く、速くなります。緊張している時には特に交感神経の働きが強くなります。一方で、副交感神経が優位なときには、呼吸が深く、遅くなります。気分よく過ごしている時には特に副交感神経の働きが強くなります。
私たちは普段から意識していなくても、ストレスや不安を感じ取ると防衛本能が働き戦闘モードに入ります。すると、交感神経が活発に働き、無意識に呼吸が浅くなったり身体が硬くなったりします。
しかし、自律神経は気持ちと身体反応が相互に影響し合う特徴があるので、意識的に整えることが可能です。呼吸をゆっくり行い、自律神経に働きかけてみると良いでしょう。マインドフルネスを生活に取り入れれば、リラックス状態を自分で作り出せるようになるのです。
6_マインドフルネスと経営
マインドフルネスは、業績向上にも貢献するとして注目されています。ストレス低減や仕事中の集中力維持・回復、思考整理などに効果があるといわれています。
GoogleやAppleなど世界トップクラスの企業が早期に社内研修などに取り入れ、生産性の向上に役立てきました。近年、日本でも多くの企業が実践しています。今後、ますますマインドフルネスを取り入れる企業が増えていくことが予想されます。
7_まとめ
常に何かを慌ただしく思考・行動する現代人にとって、マインドフルネスの効果は期待以上かもしれません。人間は嫌でも考え続ける生き物です。だからこそ、マインドフルネスにより、意識が解き放たれる時間を作ることはメンタルヘルスにも良い効果が期待できるでしょう。
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