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「ワクチンリテラシー」を我が国ヘルスリテラシー向上の契機に

株式会社フェアワーク代表の吉田健一です。本noteの記事は、元参議院産業医が紐解く!「健康経営関連ニュース」としてまとめてきましたが、最近は、健康経営とヘルスリテラシー、そこから派生してワクチンリテラシー、さらに川上?に視点を移して生活者・市民としてのリテラシーなどについて、つらつら考えています。

個人的には経済産業省「健康投資管理会計ガイドライン」のキモは、ヘルスリテラシー向上策にあると考えています。企業や組織が実施する保健指導において、社員がどんなに食生活や運動・禁煙などの生活指導を受けたところで、実際の行動変容に結びつくかどうかは社員側の要因に左右される余地が大きく、その「社員側要因」の一定割合を「ヘルスリテラシー」が占めるのではないでしょうか。

日本人のヘルスリテラシーが国際的に低い水準にとどまる理由はいくつか指摘されています。下の図は「健康を決める力」サイトの引用です。

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プライマリ・ケア医や医学論文データベースへのアクセスの容易さ、テレビや新聞など旧来型の大手メディアとネット情報への信頼感の格差、生徒学生への健康教育機会など、多くの原因があるのでしょうが、個人がヘルスリテラシーを高めなくともそれなりの生活水準で生涯を終えることができたため、その必要に迫られなかったことが背景にあるように感じます。

今回「ワクチンリテラシー」というタイトルでnoteを書くにあたり、googleで検索してみてトップに来たのは、おそらく2014年頃に書かれたと思われる、こちらの記事でした。筆者の池田先生は長崎大教授を経て、2017年時点では矯正医官をされているようです。

ワクチン報道やワクチン行政の在り方について、思い出されるのはヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンをめぐる報道とその受容過程、そして悲劇的ともいえる結果(接種勧奨の中止)です。

今も我が国では年間約3000人弱が亡くなる子宮頸がんですが、「HPVワクチンと検診を組み合わせれば今世紀中に子宮頸がんを撲滅できる可能性がある」とも言われるなかでの、行政の後退は非常に残念に思います。

さて、新型コロナウイルスワクチンですが、HPVワクチンやインフルエンザワクチンに比べると、はるかに多くの国民が接種を希望しているものの、それでもこのままだと国内の接種率は6-7割で頭打ちになるものと予想しています。

米国では一定のワクチン接種率達成に対してマスク着用やレストランの営業制限が解除されつつある半面、行政が期待するほどのペースでは接種が進行していないことに対し、ビールや銃のクーポン・宝くじなどを配布して対応しているようです。

疾病を正しく恐れ、予防の限界を知り(正しく期待し)、家庭内や職場で正しい情報発信を心がけ、適切な行動につなげる。「ワクチン」という言葉を連日耳にする今の時期を数年後に振り返った際、「コロナ禍が結果として、日本社会のヘルスリテラシー向上の転換点となった」と総括できるよう、私も正しく警鐘を鳴らしてゆきたいと思います。

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