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【健康経営度調査2021直前セミナー!健康経営の深化に向けて持つべき視点】MS&ADインターリスク総研 森本真弘部長をお招きして その2

2020年10月6日、MS&ADインターリスク総研の森本真弘部長をお招きして弊社主催のセミナーを開催しました。森本氏が理事を務める一般社団法人 社会的健康戦略研究所へは、私(吉田)も事業者ユニットの会員として入会させていただいております。

前回より続く

一橋大学の楠木健教授は、著書である「ストーリーとしての競争戦略」で「優れた経営戦略」というものには、思わず人に話したくなるような面白いストーリーがあると仰っています。

健康経営も経営戦略として取組むのであれば、優れた健康経営には思わず人に話したくなる。さすがにそこまでではないにしても、きちんと人に話をできるようなストーリー、それがあってしかるべきではないかなと思っています。

MSAD森本様講演スライド202010-10

なんか変なこと言い始めたと思われてる方もいらっしゃるかもしれませんが、経済産業省も似たようなことを言っています。6月に健康投資管理会計ガイドラインというものが出ていますけれども、皆さんご覧いただいていますでしょうか。何ページかに亘って似たような記述がありますが、例えばこの12ページ、スライドの上段を見てください。アンダーラインが太くなってる部分ですが、「課題から取組みまでの結びつきの意識を持って」とあります。

ここで言っている「課題」、もちろん経営課題です。経営課題から出てきた健康課題も含めてです。「取組み」というのは健康経営で取組むいろんな具体策のことを言っています。その課題から取組みまでの結びつき、つながりというものをちゃんと意識を持って、"ストーリー”として語れるようにしてくださいと、ちゃんと書いてあるんですね。そのストーリーを誰に対して語るかというと、経営者や従業員や外部のステークホルダーです。もちろん、語るだけじゃなくて理解してもらうことが重要だと書かれています。


MSAD森本様講演スライド202010-11

健康経営度調査票も見てみたいと思います。こちらにも同様のくだりがあります。アンダーラインが太くなってるところを追っかけていきますが、「経営課題」、「期待する効果」、「具体的な取組み」、これらのつながりをちゃんと整理をして管理していますかと聞かれています。ここでは「つながり」や「結びつき」という言葉が使われていますけれども、「経営課題」「期待する効果」「具体的な取組み」をつなぐ"ストーリー”が大事だと言っているのだと思います。何となく分かっていただけたかなと思います。実際に優れた取組みを進めている企業に当てはめてみると、より具体的にイメージしていただけると思います。

会社としてもともと目指している姿、その実現につながる"ストーリー”というものをきちんと考え、描いていただくことで、自分の会社にとって健康経営はどういう意味があるのか、どうして必要なのかが見えてきます。そこが見えてくると何が課題としてあり、解決していかなければいけないのか、どういう打ち手が必要なのかも見えやすくなってきます。よく健康経営に取組んでいる担当者が、「経営陣が理解してくれない」とか「本気になってくれない」みたいなことを悩みの声として挙げてきますが、今申し上げたことがきちんと整理できていことが一つの理由になっているんじゃないかなと思います。


MSAD森本様講演スライド202010-14

関連で先ほどご紹介したアンケートの中身について少し見ていただきたいと思います。今お話ししたようにきちんと紐付けができている法人とそうでない法人とで何か違いが生じててないか分析した結果です。一つ見ていただきたいのは、社内案内の発信者です。社内案内を推進セクションから行うだけでなく、社長や経営陣が発信者になってる傾向が紐付けてる法人の方が強い。これは言葉を換えて言うと、経営のコミットがより強く得られているということだと思います。

健康経営度調査票にも関連した項目があります。「経営トップの取組み」として「自らが社内に、推進方針や自らの取組みを発信してますか?」と問いています。この点を重要視していることが読み取れます。さらに、誰をターゲットにして健康経営に取組んでるのかを聞いてたところ「管理職」をターゲットとして挙げてる企業が紐付けてる法人さんに多いようです。なぜか。

経営戦略として位置づけ、経営のコミットもしっかり得られているのに中間管理職が抵抗勢力になっては困るわけですね。抵抗勢力にならないように中間管理職も一つのターゲットとして、しっかり浸透させていくことを意識している度合いが強くなっているのだと思います。また最近の健康経営は、「効果」を非常に重く見るようになってきています。その効果を金額換算、あるいは数値換算している度合いが、紐付けてる企業のほうが高くなってるようです。


MSAD森本様講演スライド202010-15

「効果」に関して別のスライドを見てください。1年前の経産省の資料になりますけれども、評価のウエイトが少し変わってきています。従来は施策実行、つまり取組みの豊富さを重く見ていたのが、実行後の評価、つまり効果の有無と効果を踏まえての改善、いわゆるPDCAをきちんと回しているかどうかを重く見るように変わってきています。この動きも踏まえてか、紐付けている企業は、効果測定もきちんと実施しようとの意識が強く働いてることが分かります。


MSAD森本様講演スライド202010-16

次に実際の効果についても紐付けしている法人とそうでない法人で比較をしてみました。従業員の変化、関心や意識、行動、さらには部門間のコミュニケーションまで、やはり紐付けてる法人の方がプラス変化が現れていると回答いただいた割合が高くなっています。効果の裏返しですけれども、各種の施策を実施した際の従業員参加率も、紐付けている法人の方が高くなっている傾向が読み取れます。


MSAD森本様講演スライド202010-17

もう少しアンケートの話を続けたいと思います「健康経営に取組む際に最も重視している目標」を一つだけ挙げてもらったところ上位三つ「ワークエンゲージメントを高めたい」「生活習慣の改善を図ってもらいたい」「従業員の幸福度を上げたい」に回答が集中しました。加えて、次に示すスライドと照らし合わせながら見てもらうと、もう一つ面白いことが見えてきます。


MSAD森本様講演スライド202010-18

このスライド、オレンジ色の部分は今ご紹介した結果を表しています。最も重視するもの一つを挙げてもらった結果がこのオレンジ色です。青い部分は重視しているもの1つではなく、複数挙げていただいた結果です。多少順番の入れ替えはあるものの、上位3つは同じです。ところが、4番目に急遽浮上してきたのが、「社内コミュニケーションの活性化」です。これにより、最も重視するというわけではないが、多くの企業が健康経営取組みで重視しなければいけないと思っていることが読み取れます。この辺をもう少し紐解いていきたいと思います。これを紐解くことが先ほどお話をした健康経営の"ストーリー”を考える上で少しヒントになると思います。



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