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教えて吉田先生!これからの健康経営を考える!14. 健康経営の民間サービスの紹介(1)保険など

全20回シリーズでお伝えしています「教えて吉田先生!これからの健康経営を考える」。前回は「健康経営における女性への取組みについて教えてください」でした。今回は「健康経営の民間サービスの紹介(1)保険など」をお送りします。

インタビューは2020年4月6日に都内にて行われました。

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健康経営に役立つ民間サービス

―――健康経営に役立つ民間サービスに関して、注目しているサービスがあれば教えてください。

健康経営」の概念は英語の「ヘルシーカンパニー」に由来するとされているように、従業員の健康や組織の健全性、また事故や疾病を含むあらゆる経営リスクの観点からは、保険との親和性が高くなるのは自然な成り行きと言えます。

第3回コラムより)産業医の選任義務がない米国において、1980年代に経営心理学者のロバート・H・ローゼンが「社員が健康でいることこそが収益性に優れた企業を作る」とする「ヘルシー・カンパニー」という概念を提唱し、それが日本で言う「健康経営」のモデルとなったことは象徴的です。

本日は私の知る限り、との前提ではありますが、健康経営に関連する保険業界の動向や、注目しているサービスに関してお伝えできれば、と思います。

その1:GLTD

まず、日本でも保険商品として25年ほど前から販売されている、「団体長期障害所得補償保険」(GLTD:Group Long Term Disability)が挙げられます。最近は個人向けプランの「就業不能障害保険」という商品の方が、一般の方には浸透しているかもしれません。

我が国においてGLTDは、会社側が従業員への福利厚生の一環として全社的に加入するケースが多いものの、肝心の加入率は2割ほどと言われています。米国の場合は、全社加入ではない場合もあるのでGLTDとは呼ばず、LTDと言うようですが、中規模以上の企業において約9割がLTDのプランを備え、かつ事業主がそのコストを負担しているケースが6-8割とのことです。

この差異の背景には日米の社会保障制度や雇用慣行の差があり、一概にどちらが良いと断じることはできません。しかし今後、日本でもジョブ型雇用が広まったり、解雇ルールの見直しなどが浸透すると、労働者側で就労不能リスクに対する意識が高まる可能性があると見ています。

ともあれ「心身共に良いコンディションで、長く幸せに社会参加する価値」への意識が高まることは、まさに健康経営が目指す姿ではないでしょうか。

その2:健康増進型保険

次に注目しているのが、健康増進型保険と呼ばれる商品群です。現状では広告などで目につくのは個人を対象とし、平均歩数や健康診断結果の改善度に応じて保険料を割り引くなどの特典を付与したものが中心ですが、昨年から団体向けプランが販売されています。

保険料を負担する企業が健康経営に取り組み、従業員やその家族が健康で幸福に暮らせる、その結果として健康リスクが低減されるので、保険料も割り引かれる、という発想です。今後こういった保険商品間の競争が生まれれば、より精緻な「健康投資の見える化」が進むと思われ、これは経済産業省が健康投資管理会計ガイドラインを整備する上で想定した「健康経営の自走化」にも合致するものと考えています。

健康投資管理会計ガイドライン20200612

コメント 2020-08-18 060434

その3:健康エンプロイアビリティ支援

最後にご紹介するのが、サービス概念としては固まりつつあるものの、まだ名前がついていない、敢えて言えば「健康エンプロイアビリティ支援」とでも言いましょうか。この言葉、いま話しながら思いついたので©吉田、でお願いしますね(笑)!

まずはエンプロイアビリティの用語からですが、これ自体は新しい言葉ではなく、20年近く前の厚生労働省の定義によると「労働市場価値を含んだ就業能力、即ち、労働市場における能力評価、能力開発目標の基準となる実践的な就業能力」とされています。その具体的な内容のうち、労働者個人の基本的能力は、以下のように定義されています。

A 職務遂行に必要となる特定の知識・技能などの顕在的なもの
B 協調性、積極的等、職務遂行に当たり、各個人が保持している思考特性や行動特性に係るもの
C 動機、人柄、性格、信念、価値観等の潜在的な個人的属性に関するもの
が考えられる。

このインタビューシリーズは健康経営をテーマにお話ししていますが、人生100年時代を前に、稼働能力とは無関係な指標である年齢による一律の退職がいずれ日本でも禁止される可能性を考えると、上記ABCの能力の基盤として、必然的に「健康」がクローズアップされてくると思いませんか?

現時点で既存のサービスとして注目しているのは、日本経済新聞社による「日経歩数番」です。私の理解ですが、このサービスは「毎日きちんと日経のニュースを読み、かつしっかり歩いているビジネスパーソンは、年齢にかかわらず価値が高い」との思想に基づいて設計されていますね。サイトにも「知力」「体力」「生涯現役」などの言葉が並んでいます。

我が国のビジネスパーソンのデフォルトメディアである日経がこのサービスを展開していることは非常に興味深く、今後のインセンティブ付与の方法論の変化なども含めて、引き続きウォッチしていきたいと考えています。

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(聞き手:株式会社スーツ 代表取締役 小松 裕介)

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ここまで読んで下さりありがとうございました。株式会社フェアワーク代表取締役社長の吉田 健一です。
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