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優しい人に甘えず本気でやれ



 7年ぶりに会った前職場の後輩が独立したとのことで昨日はお祝いに行った。

「わたしのこと覚えてますか?」
 と聞くと、

「めちゃめちゃ怒られたんで覚えてますー!」
 と。
 仕事で絡んだのは1、2ヶ月ほどだったのに、そんなに怒られた記憶があるのかぁとびっくり。

 会社勤めをしている人なら分かる。
 会社で「自分らしさ」なんていらなくて、組織のために自分を偽れる人が出世する。自分のことより会社のために動ける人が偉くなる。

 20代でそこそこ偉くなってしまったわたしは、使命感から多少キツイことも言ってしまっていたなぁと反省はするけど、後悔はしていない。それは、あの時代がそうだったからそうしていたというだけ。


 ふと思い立って主人に話す。
 
「なんか今の若い子って可哀想だよね。怒られないから」

「大人が怒らないとダメなんだよ」

「そうなんだけどさ、世の中的にパワハラとかカスハラとかで、怒る方が遠慮しなきゃいけない時代じゃん? わたしも昔はよく怒ってたけど、今はもう「好きにしたら」って思うことの方が多いからさ」

 本当はこうした方がいいのになぁと思うようなことでも、「まぁその人にはその人の考え方があるし、後々苦労するのは自分だから、人生頑張ってね」と、見守ることが多い。

「だから今の若い子ってさ、本とか読んで自分自身を自力で奮い立たせて仕事や勉強に向き合える人でないと、将来だいぶキツくなるよね。特に20代の積み重ねの期間に何をしてきたかで、30代で実力が発揮できるかが決まるからさ」

「あんたも俺に甘えるなよ」

「わかってるよ」

 わたしはすごく運が良かった。主人と出会ったから。
 すごくすごく怒られて、面と向かって「死ね!」と言い返したこともあった。今思えば、あのとき怒られなかったらどうなっていたのだろうと思う。まだ怒ることが許されていた時代。

「今は怒らない方がいい時代じゃん? だから特に40代以上の人は「若い人に優しくしよう」っていう考え方に切り替えてるじゃん? その裏にはさ、「優しく接して居心地良くしておけば、いつまでもここで働いてくれて、コマとして使える」って考えがあるわけじゃん? それに気づいてる若者っているのかな?」

「それに気づく奴はとっくに独立してる」

「そうなんだよねー」

 ゲッターズ飯田さんがよく言っている。
「優しい人が1番怖い」と。

 優しい人は、例えば若い人がミスをしても、遅刻をしても、仕事を適当にしても、グッと我慢して何も言わない。そして自分で処理する。

 その結果、優しい人の能力が高くなり、若い人は優しい人のいる環境でしか働けなくなるので、能力も上がらず、独立もできず、一生コマとして使われる。

「居心地のいい環境を探すんじゃなくて、自分で作るって発想ができなくなるんだよねー」

 単発バイトなんかが流行っていて、なんの責任も背負わずに働いてお金を稼いでいる人もいるけど、
 そのお金を自分に投資してなにか目指すものでもあればいい。

 ただ遊んで、生きていくために浪費しているだけでは、30代40代になったときに、何も残らなくて、だんだん遊べなくなってくる。
 
「その年齢で部下を教育したことないんですか?」
「その年齢で他人の責任を背負ったことがないんですか?」

 見抜かれてしまう。

「何事にも本気でやってる人って、本気でやることが習慣として身についてるし、責任も背負えるから、何やってもトップを目指せると思うんだ。清香ちゃんとか見てるとそう思う」

 推しているシンガーソングライターの福島清香ちゃん。

 陸上を頑張って県代表に選ばれ、教員試験に受かり小学校の先生をやり、今はシンガーソングライターとして全力で上を目指している。

 怒られない優しい時代だからこそ、本気でやることが重要で。

 本気でやっている人は本気でやっている人が分かるので、そういう人同士で集まることが、これからの時代は必要になってくるのだろう。
 
「だからわたしも、本気で小説書いて、本気で推し活して、本気で周平くんを武道館に連れて行こうと思うの」

「結局それかい」

 本気でやる覚悟を決めよう。




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