見出し画像

みんな、わたしがいなくて寂しくない?



 2月11日にXのアカウントを削除してから今日で10日。mixi2のとあるコミュニティを見ていた人だけが削除理由を知っているので、それ以外の人は突然の削除に戸惑っているかもしれない。
 
「最近Xどう? アカウントないから全然見れないけど」

「だからアカウント戻せよ。4000人もフォロワーいたのにもったいないだろ。文学フリマもあるのに」

 30日間はアカウントが戻せるらしいが、もうXにはなんの未練もない。主人は義理堅いので人間関係をとても大切にするけど、わたしはそのとき縁のある人と繋がればいいと思っているので、主人からしたらびっくりするくらいサッパリしている。

「いやー、ないね。mixi2のほうがめちゃくちゃ楽しいし、周平くんの推し活もしやすいし、貴重な情報が埋もれないの。Xやってたときに取られた時間がバカみたいに思うよ。ライブ情報もね、わたしがX見なくなったって知ったフォロワーさんが教えてくれるから問題ないわ」

 最近はmixi2の【個人用】コミュニティにこもっている。文字通り【個人用】である。わたしだけのコミュニティ。

 そこに推しの周平くんの写真を投稿して、「好き! 大好き! 頑張ってね!」と書いたり、「今日はこんなことがあったよ〜」と報告したりして楽しんでいる。いわゆる1人遊びである。ポジティブ言葉を書き込むと、あとあと見返した時に元気が出る。全然寂しくない。
 初期mixiでいうと、「日記機能」としての使い方である。

「個人用コミュニティ作ってからメンタルめっちゃ安定するの。誰にも邪魔されずに「好き! 大好き!」って言いまくれるし、Xみたいにポストしたらフォロワーさんのページに流れることもないから、見たい人が見たいときに覗ける仕組み。周平くんも見てるかもしれないなぁって思うと楽しくなる」

「恥ずかしくないのか」

「恥ずかしくないね。ライブでしか会わないし、他のアーティストさんのファンも似たようなことやり始めてるよ」

 自分用の推しコミュニティのススメ。
 推しへの愛をひたすら垂れ流せるコミュニティ。徐々にオタクの間で広まりつつあるこの使い方。アーティストの名前で検索すると出てくるので、こっそり覗いて楽しんでいる。

「あー、あの人Xだとすごい真面目な感じなのに、ここでは結構ふっきれて愛を語ってるなぁ」とか思ってニヤける。
 推し活している人はみんな可愛い。推しのことが大好きすぎて止まらない感じは、見ていてすごく楽しいし、愛に溢れている。

「でもさー、わたしがX辞めて周平くんが寂しがってないか不安だなぁ」

「なんだそれ。「僕がライブ行かないと推しちゃんが悲しむんだ」って言ってるオタクみたいだぞ」

「いやまじそれだわ。完全にドルオタ脳」

 推しからすれば「お前なんか来なくても全然関係ないわ!」という話なのだが、ドルオタはなぜか無駄に責任感が強い。

「でもドルオタってそうじゃん。「僕がライブに行かないと!」って考えてる人多いよね。で、そういう人って大抵偉い人なの」

「それはあるな」

 推しやオタク仲間のために、お金をもらえるわけでもないのに「自分が行かなければ」と考えて動くドルオタは、その強い責任感のおかげか、仕事では偉いポジションについていることが多い。

「別にフォローしてなくても定期的に見ちゃう人っているじゃん? 検索履歴にいつも残ってるからそこから飛ぶの。わたしにとって周平くんはそういう人だったから、もし周平くんが急にアカウント消したら絶望すると思うんだ。習慣としていた行動がなくなるというか。だからもし周平くんにとってわたしがそういう人だったら、アカウント消されたら結構きついなって思って。可哀想だなぁ」

「じゃあ尚更戻せよ」

「やだよ」

 検索履歴にいつも残っているような人を、わたしは「キーになる人」と呼んでいる。

 自分から発信する人も、見る専門でXを使っている人も、必ずキーになる人はいる。

 その人がいるからXをやっているし、その人がいるから何か発信しなければと思ったりする。

「まぁわたしに興味がある人はmixi2をすでに始めてるから大丈夫だけど、Xでの習慣は少しは変わってると思うから、なんか申し訳ないなって思うんだ」

「図々しいな」

 責任感というか図々しいというか。どちらだろう。

 みんな、Xにわたしがいなくて寂しくない? 
 
 大丈夫だよ。そのうち慣れるから。

 文学フリマ関係は、mixi2のみで発信します。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集