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mixi2で花が咲く



「あーもうやだ。見たくないー……」

 と言いながらつい見てしまう。
 たまに開くXの今日のトレンドは「女子高生コンクリ殺人事件」

 ピュアピュアな中学生くらいのときに見て、
2、3日病んだ記憶がある衝撃的な事件。

 mixi2の平和な世界に慣れてしまうと、Xのゴミっぷりが耐えられなくなる。人は良いことよりも悪いことに注目しがちだ。時間が奪われるだけである。

 知らなくていいニュース。
 過去のニュースや地球の裏側で起きているような事件に、いちいち心を痛めても仕方がない。薄情だと思われても、じゃああなたは何ができるの? という話で、毎日明るく元気に、世のため人のために働いた方がよっぽどいい。

「冷たい人だなって言われても、自分に関係ないものは関係ないからね」

「あんた俺が死んでもそれ言いそうだもんな」

 そんなことはない。主人が死んだら大いに関係ある。私が困る。

「なんかもう本当にXってオワコンだよね。いいねもさ、mixi2に慣れちゃうと「すごい!」とか「かわいい!」とかリアクションできないのほんとつらい。既読感覚のいいねはもうつまらないなぁ」

「リアクションなんてあるのか?」

「あるよ。あんた知らんの? 投稿に対して、5種類までリアクションできるの。5種類並んだリアクションは、花が咲いているみたいで綺麗なんだ」

「へぇ、どうでもいいな」

 初めての入稿作業を、パソコンで調べながらやる主人の横で、パソコンのそもそもの使い方が分からないわたしはただジッとしている。暇すぎるのでXを見ている。
 今後も本作りを続けるつもりなら、わたしもパソコンの基本くらいは覚えないとなぁと思う。


「それよりさ、面白いこと考えたの!」

「なんだ」

「小説とmixi2を繋げようと思うんだ!」

「なんだそれ」

 小説と現実が繋がる系の本は色々ある。まず場所が実在するところだったり、作中に出てくるQRを読み取ると画像が見れたり。
 あの手この手でよりリアルに、より面白くなるように、作者は物語と関連する仕掛けを考えていたりする。

「私の筆力なんてゴミすぎるから、何か別の仕掛けを作って、読者も参加して楽しめるような仕掛けを作りたいんだ! mixi2で」

「なんか考えてんのか?」

 わたしが主人に話すときは、もう8割くらいは決定している。

「コミュニティを利用しようかなって。本読んだ読者が、コミュニティに集まれるようにしたい。面白そうじゃない? 上手くいったら周平くんに花が咲くよ」

「花?」

 mixi2を使って何かしたい。それまでに、mixi2を使う人がもっともっと増えればいい。何か、みんなが楽しめることを考えたい。

 何もしてないXのアカウントのフォロワーが勝手に増えていく。mixi2に移住する前は3990人だったのに、今は4015人。25人増えた。何もしてないのに。

 どこかで誰かが見ていて、文学フリマまでのわたしの行動を期待しているのかもしれないと、図々しく勘違いしておくことにする。

 みんな、mixi2を始めよう。
 5月11日に、何かが起こるから。

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