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【#10】 英語教師として "Update"するためにしたい10のこと⑦ -学校全体を巻き込んだ「英語プロジェクト」-
こんにちは!
Sakaue Wataru | English Teacherです。
今年で教職12年目になりました。
英語教師である自分を"Update"するために、
以下、「10のこと」を意識して挑戦しています。
⑴ noteによる「指導観・授業観」の振り返り ✅
⑵ ICTを活用した「授業実践」の振り返り ✅
⑶ 授業「健康診断」with 授業評価アンケート ✅
⑷ 「目的・場面・状況」のUpdate ✅
⑸ 「即興のやり取り」のUpdate ✅
⑹ 児童生徒が行う「振り返り」のUpdate ✅
⑺ 英語を学ぶ「意義」のUpdate ✅
⑻ 教師が夢中で学び合う「校内研修」の推進 ✅
⑼ 学校全体を巻き込んだ「英語プロジェクト」
⑽ 学校外への「実践発信」
↓前回の記事はコチラから!
今回は、⑼「英語プロジェクト」について少しご紹介します。
1.「オリジナル・ガイドブック」の取組
現在、外国人観光客に向けて、地元を紹介するオリジナルガイドブックを作成するプロジェクトを進めています。
昨年度は中学校1年生だけで行ったのですが、新聞にもその様子が掲載されたり、学校にも各所から問い合わせが殺到したりと大変好評でした。
ただ、本校は小規模校なので、紹介できる場所や内容にも限界があることが難点でした。そこで、今年は中学校3学年で取り組む一大プロジェクトに発展させることにしました。
プロジェクトはまだ途中ですが、やってみて効果的だと感じていることを2つ紹介します。
⑴ 学びの「エンゲージメント」を高められる
「先生!課題を発表したら子どもたちが大喜び!」
中1を担当している先生が職員室に戻ってくるなり、とても嬉しそうにそう報告してくれました。
中1の課題はこのような設定になっています。
![](https://assets.st-note.com/img/1709992297362-RKfgoA1rgB.png?width=1200)
子どもたちのアイデアがどんどん広がり、前のめりになって話し合いが進んでいったそうです。これは、他の学年でも同様でした。なぜでしょうか?
理由を考えてみたのですが、それはおそらく、「誰かの役に立てるから」というのが大きく関係しているのではないかと思います。
子どもたちは本当に素敵な感性を持っています。
「きっとお寿司が食べたいんじゃない?」
「○○に行くなら、もう少し時間に余裕を持たせたほうが楽しんでもらえるよね」
と、「外国人観光客」の立場になって考える姿や発言がどのグループでも見られます。
これは、学びの「エンゲージメント」が高まっている状態であると考えています。
学びのエンゲージメントとは、「学習課題に没頭して取り組んでいる心理状態」のことです。課題設定で「目的」と「相手」を明確に設定したことが生徒の興味・関心を高めているようです。
英語教育を通じて育てたいのは、「相手意識」だと考えています。
相手の立場や心情を慮ることができる人間性。
AI, VUCA時代に欠かせない資質ではないでしょうか。
自分自身、このプロジェクトだけでなく、日常生活の中で生徒たちから、「相手意識」の大切さを教えてもらっています。
⑵ 学習に「発展性・系統性」を持たせることができる
このプロジェクトでは、3学年で次のようなタスクを用意しています。
中1:オススメスポットの紹介
中2:旅行プランの提案
中3:市のPR動画
中1では、There is/are 〜.の文を使って、オススメスポットを紹介します。
中2では、1日の旅プランを提案します。観光地だけでなく、ご飯を食べる場所やその順番などを、土地勘がある地元民の視点から提案します。
中3では、動画編集アプリを用いて、ペアで漫才のようなPR動画を作成します。動画はQRコードで視聴できるようにします。
それぞれ難易度が上がっていきますが、3つの課題が1冊のガイドブックの中に一元化されているので、次年度以降の課題の見通しが持てます。
見通しが持てるということは、「そんな工夫ができるのか!」「来年度はこんな紹介をしてみたいな」というように、先輩のモデルから学び、よりよい作品を作りたいという動機づけを刺激することができるということです。
一人では少し難しい課題ではありますが、グループで知恵を出し合うとアイデアが溢れてきて、どんどん前のめりになってきます。
教師が介入すべき場面は、主に2つあると思っています。
1つ目は、アイデアを整理・分析する場面です。
広がったアイデアを編集する上では、「道具」が必要です。
今回は、ロイロノートで次のような思考ツールを作りました。
![](https://assets.st-note.com/img/1709994158132-Aj7x7nfrx1.jpg?width=1200)
写真のように、1日の行程を編集できるようにしました。
これは「共有ノート」と言って、複数の生徒で同時編集できるものです。
こうすることで、みんなで青や赤のカードを動かしながら、最善の順番を協議することができます。
付箋紙を使えば、アナログで行うことも可能です。
2つ目は、紹介文の構成です。
いきなり「じゃあ紹介文を書いてね」では、なかなか書けません。
分かりやすく伝えるには、Opening-Body-Endingや、OREO(Opinion, Reason, Example, Opinion)など分かりやすく伝えるための構成について指導する必要があります。
そこで、次のような思考ツールを用意しました。
![](https://assets.st-note.com/img/1709994511191-YOecT8l28s.jpg?width=1200)
ハンバーガーに見立てて、紹介を考えるように促しました。
これは主にプレゼンの指導に活用したものです。
このプロジェクトを単に「ガイドブックを書く活動」にするのはもったいないと考えています。Writingの質を高めるために、プレゼンや相互評価などの言語活動を仕組むようにしています。
日々の活動が、1つのプロジェクトに向かっていくように授業をデザインすることで、生徒たちの関心や意欲といった「エンゲージメント」を高めたいと思っています。
ちなみに、中3の動画の課題では、思考ツールについては何も指定しません。生徒が、3年間の学びを生かして、自由に「道具」を決めます。
3年間で、上記以外にも、セマンティック・マッピング、ウェビング、マンダラート、フィッシュボーン、クラゲチャートなど様々な思考ツールを使えるようになっています。
![](https://assets.st-note.com/img/1709995726200-QCRHtFyjgx.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1709995769213-C4uuKMFzxx.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1709995801993-XWC7dYEweP.jpg?width=1200)
2.みんなで「遠くまで」行く教育を!
一人でできることは限られています。
ですが、教師が同僚と力を合わせ、知恵を出し合えば、様々なアイデアが生まれ、できることの幅も増えていきます。
教師の姿を、子どもたちは毎日見ています。
教師集団が協働しながら、ワクワクしながら挑戦する姿を見せることで、子どもたちにも大きな影響を与えるように思います。
何か1つ、共通項を見出し、一緒に考えてみることで、学校はさらにワクワクする場所へと変わっていくのではないでしょうか。そんなふうに考えています。
"If you want to go fast, go alone. If you want to go far, go together."
「早く行きたければ一人で行け。遠くまで行きたければみんなで行け」
ーアフリカの諺