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動詞エッセイ;挟む

今朝の朝食はサンドイッチ。
あ、日曜日の朝か。
たまに、父のリクエストで母が朝食で作ってくれる。

挟むだけと思われがちなサンドイッチは、実は手間がかかる。
トマトを薄切りに、きゅうりを斜め切りに。
レタスを洗って水気を切り、ちぎり。
卵を茹で、殻をむき、マッシャーでつぶし。
パンにバターとからしを塗り。
そこでやっと挟む作業に取り掛かる。

私が目をこすりながらキッチンへ入るとサンドイッチはすでに出来上がっている。
雨の日も遠足気分にさせてくれる母のサンドイッチは最高だ。
(いつも、ありがとう。)

私は、本をほどほどに読む。
高校生までは、1冊ずつ読み進め、読み終われば次の本を、
という読み切りタイプだった。

最近は、好みの本のジャンルが広がったこともあり、同時進行型になっている。
時代・古典小説やミステリーは外出や昼間用。
短文のエッセイやゆるっとした漫画は、おうち用。

2冊同時に読み進めていくことで、ジャンルは違えど、リンクしている場面もあり、新たな楽しみ方を味わっている。

そんな同時進行型になれば必要になるものが、本の栞だ。
私のお気に入りの栞は、小さい頃に、出張先で買ってきてくれた父の土産物だ。
蝶のステンドグラスの栞。
その栞は今、366枚の西洋画が収められた分厚い本のなかで、
1ページずつ歩みを進めているところだ。

普段、読んでいる2冊に使う栞は、本のテイストや気分で変える。
宣伝用に本屋のレジで置かれている栞。
カフェや雑貨屋のショップカード。
お店のキャラクターが印字されたレシート。
服についていたタグ。
香水が香るテイスティングカード。
友達が折り紙や画用紙で作ってくれた栞。

どこまで読んだか目印にするための栞。

でも、それだけじゃなく、栞は、
本の表情をさらに豊かにしてくれる役割もあるのではないかと感じる。

何事も面倒くさがらず、楽しんだらいいのかもしれない。
次に、父がリクエストの声を漏らしていたら、私も母と一緒に
楽しみながら下準備をしよう。
そひて、サンドイッチの具を挟んでいくのだ。

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