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「夏休みの本」3選 FIKAのブックトーク#8

こんにちは、FIKAです。
毎回1つのテーマで数冊の本を紹介しています。

今回のテーマは「夏休み」

いよいよ夏休みシーズンですね。
大人になった今でも「夏休み」と聞くとなんだかワクワクしてしまいます。
そんな夏休みらしさをたっぷり味わえる本を3冊紹介します。




「夏休みの空欄探し」 似鳥鶏

夏、出会い、恋、友情、暗号、冒険、秘密…
夏休みのすべてが詰め込まれた青春ミステリです!

謎解き好きな男子高校生・成田頼伸は、ある日ファミレスで暗号を解読している姉妹と出会います。偶然出くわしたクラスメイトの成田清春も加えた4人で夏休みに他の暗号を解くことになりました。

スクールカースト的には真逆にいる頼伸と清春ですが、学校とは違う顔を見せるお互いが新鮮で仲良くなります。
そして4人で行動を共にするうちに頼伸は妹の七輝を、清春は姉の雨音を好きになっていきます。

美術館や水族館に行ったり、伊豆大島や関西に旅行したりして、知恵を出し合いながら次々と暗号を解いて過ごす4人の楽しい夏休み…

まさに、ボーイ・ミーツ・ガール!
これぞ青春!最高の夏休み!

けれど暗号をめぐる冒険は意外な結末を迎えます。ひと夏の恋と冒険はハッピーエンドかそれとも…?



「夏と花火と私の死体」 乙一

「夏休みの空欄探し」が「いかにも青春な夏休み」だとしたら、本作は「いかにも暗黒な夏休み」を描くホラーミステリです。

「語り手」の少女は、9歳の夏休みにいきなり殺されます。殺したのは少女の同級生。大好きな兄をとられるのが嫌で、崖から突き落としてしまったのです。

妹が少女を殺した事を知った兄は、二人で死体を隠すことにします。しかし子どもゆえ、その隠し方は行き当たりばったりです。最初は溝に置いたのですが危うく見つかりそうになり、今度は自分たちの家の押し入れに隠すのですが、また見つかりそうになって別の場所に移動させて…

まるでコントのようなドタバタ劇なのに、やっていることは死体の隠蔽というアンバランスさが何ともグロテスクです。 

罪の意識に怯える妹とは対照的に、兄は常に冷静に死体が見つかりそうになるピンチを切り抜けていくのも怖い。

しかもこの間、なぜか「語り手」である死体の少女の意識はずっとあって、兄妹の隠蔽工作を淡々と眺めているのです。自分の死体を早く誰かに見つけてほしいと願いながら…

悪夢のような四日間の冒険の果てに待っていたものとは?
アンファン・テリブル(恐るべき子どもたち)を描いた、乙一衝撃のデビュー作です。



「夏は幻 Iska作品集」 Iska

写真家Iskaによる写真集です。
「夏は幻」「秋は彩」「冬は輝」「春は永」の全4章で移ろう四季の景色を撮影しているのですが、夏の写真が素晴らしい!

町や田舎の何気ない風景。
いつか行った海や森。
空はどこまでも青く、白い入道雲がむくむく湧いて、森の緑は濃い。
通り過ぎる風が風鈴を揺らしていく。
夕焼けが赤く染めるのは、いつもの道かもしれないし、旅先の景色かもしれない。
初めて見るはずなのにどこか懐かしい風景。

昔過ごした夏休みのような、あるいは映画のワンシーンのような、それら全てが混ざったような夏の景色です。

「春」「秋」「冬」の写真も素晴らしいのですが、やはり「夏」が秀逸です。タイトル通り「幻」のような夏をとじこめた、ノスタルジーをかきたてられる写真集でした。



以上、3冊の本を紹介しました。
皆さんに素敵な夏休みが訪れますように!

読んで下さってありがとうございました。






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