本「キッチン」を古本屋で200円で購入して後悔。
先日、神保町の古本屋をプラプラしていて
目に止まったベストセラー。
「キッチン」
中学生の頃かな?
買って読んだ記憶がある。
完全に背伸びをして手に取った。
表紙もオシャレな感じで
(当時の表紙はグレーと黒のシンプルな表紙)
吉本ばななと言う名前さえ
オシャレに感じた。
一生懸命、背伸びしていた私は
この本を買って読んでいる自分に
酔いしれていたはずだ。
結局最後まで読んだのかそれさえも
記憶はなく、ただ何だか
よくわからないかも??と言う
感想を持った記憶が頭の片隅に
あるぐらいである。
きっと当時はそのオシャレな表紙の
本を買い、読んでいる自分に酔い
大満足だったのだろう。
先日、神保町の古本屋に入った時に
目に入って手に取った。
そう言えば結局この本って
どうだったんだっけ??と思い
この当時とは違う綺麗なオレンジの色の
後押しもあって購入した。
200円。
読み終えた。
200円で購入してしまった事に後悔。
これは200円では申し訳ないでしょ。
内容は「死」を扱っていて重たいはずなのに
全体を通して透明感に包まれていた。
死に対する感情。
現実を受け止められない葛藤。
大切な人と2度会えない絶望感。
それでも生きていかなくてはいけない現実。
本当に重たいのにページを読む手を
休められない。
あっという間に読み終えた。
そして読み終えた後この心が温かい。
私も18年前の結婚式の2ヶ月前に
父を亡くした。
吉本ばななさんが書く大切な人を
失った心の動きの表現がとても共感した。
そしてこうしてタラタラと自分の
心の整理の為にnoteを書く様になって1年。
書くって難しいなと日々思ってるのだけど
こうして作家さんの作品を読むと
逆に失礼になるのかもしれないけど
本当に言葉の紡ぎ方が凄い。
それをこんな風に表現するのかと感動して
何度も同じ箇所を読み返す。
朝の光の表現1つ取っても、
冬の冷たい風の表現1つ取っても、
もう映像が目に浮かぶ。
しっかりと浮かばせてくれる。
そして文章が美しい。
途中途中、父との死が辛かった時と
重なり涙がこぼれた。
人は誰でも突然、天涯孤独になる可能性がある。
死は必ず順番に来るので自分が最後の
1人になる可能性は十分にある。
天涯孤独。
主人公は天涯孤独になるのだけど
これはいつか来る私の感情かもしれないと
ちょっと身が引き締まる感覚も持った。
物語りの途中でこんな文章があった。
「幸福とは自分が実はひとりだということを、
なるべく感じなくていい人生だ」
結局は人間は1人なのだ。
それは誰もが同じで紛れもない事実なんだ。
そこはとても平等だね。
あとはどんな風に感じるかだから
自分の環境をどうするかは自分次第だけど。
とにかく文章が言葉が美しくて
自分の心の中にある汚い物が綺麗な水で
流されて行く感じがして読み終えた後
登って来る朝日を見る神聖な気持ちになった。
これは200円でのお支払いが
申し訳ない。
次回本屋で買い直そうと思う。
そしてそれをいつか
息子に渡そうと思う。
1人っ子のあの子の心のお守りに
手助けになる事を願って。
やっぱり私は本が好きだ。
#読書感想文 #エッセイ#キッチン#吉本ばなな
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